本記事のもくじ
2023/02/01 タイトル・見出しを修正し、全体に記述を改めました
2023/03/10 タイトル・見出しを修正し、全体に記述を改めました
0. 【医師・歯科医師は投資なんて不要?】資産形成をすべきかどうか悩んだ時に考えるべきこと
- 「投資に興味があるけど医師の私にできるのだろうか…」
- 「そもそも医師は投資をすべきなのか…」
- 「給与を投資でうまく活用したいな…」
以上のように考えている医師の方もいるでしょう。
投資や資産形成を学ぶ機会はあまりないため、興味があってもなかなか行動を始められないものですよね。
そこで本記事では、投資ファンドでの勤務を経て、わずか30歳で投資だけでセミリタイアし、数多くの医師の資産づくりをお手伝いしてきた私の実体験や経験を交えて、医師が投資をするメリットや注意点を解説します。
そんな経験を踏まえながら医師の投資の必要性について解説するので、読み終わる頃には「私は投資をすべきなのか?」という疑問が解決していることでしょう。
投資をすべきかどうか悩んでいる医師・歯科医師の方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、勤務医や開業医の方に限った解説をチェックしたい方は下記の記事をご覧ください。
1. 医師・歯科医師という仕事の5つの経済的特徴とは?
医師に投資が向いているかどうかを確認するために、まず医師という仕事の経済的特徴から見ていきましょう。
- 一般的に収入が高い
- 安定的に仕事が得やすい
- 健康な限り働けるが自分自身が働かなくてはならない
- リタイア後の保障が意外と手薄
- 良くも悪くも国の制度に依存している
医師の仕事は以上5つの特徴があります。
これらの特徴について順番に解説しますので、投資をする上でどんな影響が出てくるのかを考えながら読んでみてくださいね。
1-1. 一般的に収入が高い
医師は人の命や健康を扱う責任の大きな仕事である分、一般的に収入も高いです。
専門分野や職場によっては、税引前の収入なら3,000万円や4,000万円はザラの世界です。
国税庁の調査によると、日本人の平均年収はおよそ460万円ほどとされています。
日本の平均年収の10倍ほどにもなるのですから、医師は日本トップクラスに収入が高いと言えるでしょう。
厚生労働省の調査によると、日本の給与所得者では2,000万円以上の年収を得ている人は1.2%しかいません。
これだけ高い年収があれば、基本的には投資に回せる資金も大きくなります。
1-2. 安定的に仕事が得やすい
医師は安定的に仕事が得やすいため、長期的にも安定して収入を得やすいです。
医師の仕事は法定の免許を要し、医師以外は医療行為をすることができないからです。
実際、医師になるためには医学部に入学して6年間も大学で学び、国家資格である医師免許を取らなければいけません。
高い学費や膨大な勉強量、そもそも難関の医学部に合格しなくてはならない点が大きな参入障壁になっているのです。
その結果、治療を施す医師の供給は限定されてきました。
需要と供給のバランスが常に需要の方が多い状態にあるので、安定的に仕事が得やすいのです。
AIをはじめとしたITテクノロジーによって、さまざまな職種が淘汰されていく現代においては、いまのところかなりの優位性があると言って良いでしょう。
1-3. 健康な限り働けるが自分自身が働かなくてはならない
収入が高く、長期的にも仕事が得やすい一方で、医師は自分自身が働かなければいけないという辛さもあります。
医療行為は、国家資格を持った人にしか法的に提供できないものだからです。
経営者のように仕組みや人に任せて、自分が休んでいる間にも収入が入るようにすることは、プレーヤーとしては難しいのです。
そのため、「収入は高いけど、事故や病気に見舞われたら…」と考えて漠然とした不安に駆られる方もいるでしょう。
医師の仕事をこなすだけでなく、働けない間の収入を確保する活動をすることが重要なのです。
1-4. リタイア後の保障が意外と手薄
医師は一般的には年収が高く、仕事も安定している印象がありますが、リタイア後の保障が意外と手薄です。
たとえば、非常勤医師として複数の病院で働く場合は、保障が手薄になる可能性があります。
保障を受けるためには、一つの職場である程度の勤務時間や収入が必要だからです。
複数の病院に勤務されており、収入が分散している場合には注意が必要です。
また、フルタイムでお勤めされている場合にも、状況によっては保障が手薄になります。
大企業のサラリーマンのような、手厚い厚生年金の制度などが無い職場も多くあります。
この点も踏まえ得た上で、もらった給料の使い道を考えることが重要です。
1-5. 良くも悪くも国の制度に依存している
医師免許や保険診療は国の医療制度に依存しています。
美容整形などの自費診療は別ですが、国の医療制度が変化すれば収入に大きな影響が出るでしょう。
もちろん、国の制度に沿っているからこそ、現在の高年収や仕事の需要と供給のバランスが整っている面もあります。
しかし、日本では医療や福祉にかかる費用が急増しており、財政が逼迫しているのが現状です。
新しい税制度の確立など、新たな財源の確保が進めば良いですが、そうでなければ支出を減らす方向に話が進む可能性もあります。
つまり、保険診療の点数が変わる・現行の医療制度が維持できなくなるなどして医師の収入が減ることもあり得るのです。
今すぐにという話ではありませんが、この先そういった事態も起こりうると考えて行動していくべきでしょう。
2. 医師・歯科医師という仕事以外の経済的な柱という大切な発想
ここまで見てきたように、医師の仕事は収入の面では恵まれているものの、リタイア後や有事の際の保障は手薄になるリスクも孕んでいます。
経済的に安定して資産づくりをするための大切な法則として、1つの仕事に依存しないというものがあります。
1つの仕事に依存してしまうと、その仕事の待遇が悪くなったり、ご自身の体調が悪くなったりした際の備えができないからです。
一般的に見れば安定した職業である医師であっても、今後どうなるかは誰にも予想できません。
あらゆるリスクを想定して、医師以外の収入源をもっておくことが重要なのです。
自分が働けなくなったり、医療制度が改正されたりしたときの備えをしておきましょう。
投資はその備えとして有力な選択肢になります。
あくまで選択肢の1つですので、無理に取り組む必要はありませんが、経済的な不安を解消したい方はぜひ検討してみましょう。
3. 医師・歯科医師が投資・資産形成に取り組むメリット
将来の備えとして投資に興味を感じている方もいるでしょう。
では、医師が投資に取り組むメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
- 仕事から得たお金を守れる
- まとまった投資資金が比較的出しやすい
- 仕事をやめた後・働けなくなった後も安心
- 投資のためのお金が最高に借りやすい
取り上げた4つのメリットは、あくまでも一般的に考えた場合のメリットです。
あなた自身がこのメリットを魅力的に感じるかどうかは別問題です。
逆に言えば、これらのメリットに魅力を感じるのであれば、投資に取り組むことで経済的な安定を得やすくなるでしょう。
それぞれのメリットを解説しますので、あなた自身がどう感じるのかを確かめながら読んでみてください。
3-1. 仕事から得たお金を守れる
投資を行うと、仕事で得たお金を投資に回すため、使いすぎずに守っていけるようになります。
「いくら投資をして、どれくらいの期間続けるのか」などといった計画を立てるからです。
私はこれまで数多くの方の資産づくりの相談に乗ってきましたが、医師の方には収入が高いにもかかわらず資産があまりない方が多くいました。
さまざまな職種の方とも関わっていますが、とくに医師の方はこの傾向が強いと感じています。
ともに働く医師も収入が高いため、「これくらい稼いでいるならこれくらい使って当たり前」といった周囲の価値観に流されやすいのです。
また、大きなプレッシャーを感じる仕事であるからこそ、その反動としてストレス解消にお金を使ってしまうのでしょう。
ふと気づいた時には収入のほとんどを使ってしまっており、資産づくりが進んでいかないのです。
現在「なかなかお金が貯まらない…」と悩んでいる方は、投資を始めることで解決する可能性があります。
もちろん、投資を始める際にはしっかりとご自身で投資計画を作り、その計画に沿った金額を毎月投資できる状態を整えることが重要です。
3-2. まとまった投資資金が比較的出しやすい
医師の方は年収が高いため、まとまった投資資金を準備しやすいです。
得た収入分だけ使ってしまっている方でも、投資目標を定めて支出を見直せば投資資金の確保はそこまで難しくありません。
投資資金が大きければ大きいほど、得られる利益も大きくなります。
その点、まとまった資金を確保しやすい医師は投資に向いていると言えるでしょう。
資金をどう扱っていけばいいのかという基礎さえしっかりと押さえておけば、投資で利益を得ることは難しくありません。
投資においては「投資資金(元本)」「リターン」「時間(投資期間)」の3つの要素がとても大切です。
投資資金をしっかり用意できる医師の方は、リターンと時間についての理解を深めることで投資で利益を得やすくなります。
「投資資金(元本)」「リターン」「時間(投資期間)」の3つの要素については、以下の記事で解説しています。
興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
3-3. 仕事をやめた後・働けなくなった後も安心
投資で資産づくりをしていけば、リタイア後の生活に必要な資金を用意することができます。
具体的な金額を出してしまえば、リタイア前に1億円の資産を作るのはさほど難しくありません。
堅実に資産を増やしていく方法として、積立投資があります。
積立投資とは、毎月決まった金額を手堅い金融商品に投資していく手法のことです。
毎月決まった金額を投資するだけですので、最初の商品選びをしっかりしておけば、あとは貯金をする感覚で続けられます。
積立投資は、複利の効果を得られるのが大きな特徴です。
複利とは、簡単に言うと、投資して得られた利子を再投資して得られる利子のことです。
たとえば、年間100万円を投資して5%の利益が出ると105万円になります。
翌年も利益を引き出さずに投資し続けておくと、今度は105万円の5%が利益として入ってきます。
もちろん、利益率は常に変動しますが、長く投資し続けることで雪だるま式に資産が膨れ上がっていくのです。
今の例では最初の100万円だけの投資でしたが、毎年100万円ずつ追加投資すれば資産の増え方はさらに加速します。
医師としての収入の一部を積立投資し続けておくことで、リタイア後にはかなり安心な状況を作れるでしょう。
積立投資でどれくらい資産が増えるのかを実感したい方は、以下の記事を参考にしてください。
積立投資をした時の資産額をシミュレーションしたグラフを紹介しています。
3-4. 投資のためのお金が最高に借りやすい
医師は投資のための融資がもっとも受けやすい職業です。
経営者や弁護士なども融資を受けやすいですが、一番は医師です。
医師には定年もあってないようなものなので、医師免許さえあれば高い収入を得続けられる仕事だと判断されるからです。
金融機関は医師に対してこのような評価をもっており「返済能力がある」と判断するので、お金を借りやすいのです。
投資でよくある悩みが「投資資金がない!」というものです。
とくに投資額が大きくなる不動産投資などは、投資資金が足りないからと諦めてしまう人もいます。
そういった投資についても、医師であれば融資を受けることで着手できるのです。
もちろん、借金をするわけですから、上手に投資で回収するための知識が必要になります。
とはいえ、他の職業についている方よりも投資の融資が受けやすく、有利であることに変わりはありません。
投資をするからと言って必ずしも融資を受ける必要はありませんが、融資を受ける際にはとても有利であることを覚えておいてくださいね。
4. 医師・歯科医師が投資に取り組む際の注意点
前章で医師が投資に取り組むメリットを紹介しました。
メリットに魅力を感じた方は「投資を始めてみたい!」と感じたかもしれません。
とは言え、投資にはリターンの裏側にかならずリスクもつきものです。
無闇に始めてしまっては大切な資産を失う可能性もあります。
そこでこの章では、医師が投資を始める際の注意点を3つ紹介していきます。
- 本業が忙しく投資に使える時間が少ない
- 金融リテラシーを身につけることを意識しよう
- 周りの医師・医療関係者を絶対に参考にしない
以上3つのポイントを押さえて行動していけば、成果の出る投資がしやすくなります。
投資を始めたい人はぜひ確認しておきましょう。
4-1. 本業が忙しく投資に使える時間が少ない
医師の仕事は忙しく、投資の勉強をしたり実際に投資したりするための時間を確保するのが難しい方が多いようです。
医師には夜間も病院にいなければいけない当直や、連絡が入ればすぐに病院に駆けつけなければいけないオンコールがあります。
その上、最先端の医療技術などの勉強も必要でしょう。
勤める病院の大きさや専門分野にもよりますが、医師には忙しい方が多いものです。
そのため、常に値動きを気にしなければいけない、トレーディングに類する投資にはあまり向いていないでしょう。
中長期的にじっくりと資産をつくっていくような投資方法を選ぶことで、仕事の合間でも成果をあげやすくなります。
あなた自身が、仕事との両立をしやすい投資スタイルを見つけていきましょう。
4-2. 金融リテラシーを身につけることを意識しよう
当然のことながら、投資を行うためには金融リテラシーが必須です。
医師には勉強熱心な方も多いですが、医療はビジネスや金融に触れる機会が少ない、きわめて閉じた世界でもあります。
加えて、日本は海外と比べて金融に関する教育が乏しく、多くの日本人は金融リテラシーが足りていません。
投資と医療ではまったく別の世界です。
投資の世界には投資の世界特有のルールがあります。
医師として積み上げてきた自信や知識をお持ちの方も多いと思いますが、良い意味で「自分は投資については初心者である」という認識を持つことをおすすめします。
投資のルールを知らないままに投資を始めてしまうと、成果を出すのは難しいです。
基礎からしっかりと身につけていく意識をもてば、勉強にも身が入るものです。
そして、基礎をきちんと押さえることで、小手先のテクニック論に惑わされなくなり、精神的な安定にもつながります。
資産づくりをするなら早めに投資をしておくことに越したことはありませんが、焦りは禁物です。
しっかりと基礎を身につけてから、その知識を実際にご自身で確かめていくようなイメージで投資に取り組んでみてください。
4-3. 周りの医師・医療関係者を絶対に参考にしない
上記と関連しますが、周りの医師・医療関係者の方の意見を絶対に参考にしないようにしましょう。
周囲の医療関係者に投資をしている人がいれば良いですが、ほとんどの方は投資についての知識・経験がないことがほとんどだからです。
普段関わっている気心の知れた仲間なので、話しかけるハードルは低いかもしれません。
しかし、本当にあなたの資産形成に役立つ知識を得られる可能性も低い、あるいは、むしろマイナスになる可能性すらあるのです。
投資については投資をしっかりと学び、実践している人の話を参考にする方が賢明です。
「投資は投資で成功したプロに学ぶ」という意識をもっておきましょう。
5.まとめ:医師・歯科医師の投資・資産形成の必要性
本記事では、医師・歯科医師が投資・資産形成すべきかどうかについて幅広く解説してきました。
医師は収入や社会的信用が高く、投資資金の確保がしやすい点において投資に向いていると言えます。
もちろん、だからと言って、医師全員が投資をすべきというわけではありません。
投資にはリスクもつきものですし、目的なく投資をしても「自分は何をしているんだろう…」という虚しさばかりがつのってしまうからからです。
「老後資金を確保しておきたい」「子どもに資産を残したい」など、あなたなりの投資の目的を見つけることが大事なのです。
「投資の目的と言われても、どうやって決めたらいいかわからない」という方は、以下の記事も参考にしてみてください。