2020/09/16 本文に追記しました
1.【投資に資格は必要?】勉強しても絶対損しない資格3選
投資を自分ですること自体には、何も資格は必要ありません。
が、正しい投資の知識を身につけるために、何か勉強したい!そう考えている志の高い方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、米国公認会計士(USCPA)や米国公認管理会計士(USCMA)、簿記2級、その他の資格を実際に持ち、京大出身の現役投資家でもある筆者が投資の勉強に本当に役立つオススメ資格についてお話します。
なお、そもそも投資を勉強する必要があるかどうかが気になる方、不動産投資に関する資格について知りたい方はこちらをご覧ください。
2. 投資に関連する各種資格の概要と評価
金融アドバイザー系資格
ファイナンシャルプランナー(FP技能士)
難 易 度:★★☆☆☆
オススメ度:★☆☆☆☆
- 日本FP協会が提供している資格
- 1~3級の3つのレベルに加え、さらに上位に認定資格のAFP、CFPが存在
- 主に暮らしの身近な家計管理、保険その他の金融資産による資産形成などのテーマを扱う
身近な収支管理や、きわめて堅実なライフプランニングには役立つと思う一方、それを超える理論や知識を得ることは難しいでしょう。
また、かえって学んだことで、堅実なライフプランに凝り固まってしまう可能性もあります。
特に、仕事で保険商品を販売している人など以外はわざわざ取得する必要はない資格でしょう。
証券外務員
難 易 度:★★☆☆☆
オススメ度:★☆☆☆☆
- 顧客に対して金融商品をセールスする人のための日本証券業協会の資格
- 一種外務員と二種外務員の2レベルの資格を用意
- 試験範囲は、金融商品取引に関わる法令や業務についての知識に加えて、証券市場・金融・経済についての基礎知識を扱う
経済・金融についての基礎知識は身につくもののの、その他は証券会社などで金融商品を販売する人のための内容となっています。
特に、仕事で金融商品を販売している人など以外は取得する必要はないでしょう。
投資信託3級
難 易 度:★☆☆☆☆
オススメ度:★☆☆☆☆
- 顧客に対して金融商品を勧誘・販売する人のための日本証券業協会の資格
- 投資信託を個人の顧客にセールスするにあたって必要とされる基本知識やセールス技能について出題される
特に、金融機関の窓口担当者やセールスマンとして、仕事をしている人など以外は取得する必要はないでしょう。
DCプランナー(企業年金総合プランナー)
難 易 度:★★☆☆☆
オススメ度:★☆☆☆☆
- 商工会議所が主催する、確定拠出年金(通称401K)やその他の年金制度の知識、投資する商品についての基本的な知識が得られる資格
- 1級・2級、2つのグレードで資格を取得することができる
あなたもお勤めであれば、会社の確定拠出年金(401K)に加入している、という方も多いかもしれません。
そんな方にとって、毎月の金額設定や投資商品の選択は骨の折れる作業であることもあります。
そういった確定拠出年金に関する悩みを解消していくれるのが、DCプランナー(企業年金総合プランナー)です。
確かに、個人投資家に役に立つ内容ではあるのですが、確定拠出年金は資産形成においてあくまで小さなパーツの一つにすぎません。
わざわざ学習と受験の手間を割いてまで、取得する必要性は低いでしょう。
証券アナリスト(CMA)
難 易 度:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
- 日本証券アナリスト協会が提供する、各種証券の分析や評価、投資のアドバイスを行う「証券アナリスト」のための資格
- 第1次レベルの通信講座+試験、第2次レベルの通信講座+試験に加えて、3年間の実務経験を経てCMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)の認定を受けることができる
株式や債券などのペーパーアセットに投資する際の理論や分析・評価方法、目的に合ったポートフォリオの構築方法を学ぶことができます。
この点では、本業として業界に関わりが無い方にもおすすめの資格と言えるでしょう。
一方で、実は業界におけるアナリストの大事な役割とは、「評価の結果が正しいかどうか」よりも「顧客に証券売買をさせる」ということにあります。
なぜなら、ビジネスとして顧客が活発に売買してくれなければ、証券会社は収入である取引手数料を得ることができないからです。
その意味では、特に金融業界に関わりの無い方がどこまで本気で取得すべきかは少し疑問です。
CFA(Chartered Financial Analyst)
難 易 度:★★★★☆
オススメ度:★★☆☆☆
- 米国 CFA Instituteが提供する、アメリカの証券アナリスト資格
- アメリカだけなく、グローバルに高い評価を受けられる金融資格
- Level1~3の全3段階のレベル構成
当然、アメリカの資格ですので、試験の内容は英語になりますが、英語で金融用語が分かる、というのは昨今のグローバルな投資を考えると強みになるでしょう。
例えば、あなたが海外の株式に投資したい場合にも、その情報を英語で確認することができるわけです。
また、MBAに引けを取らないくらいグローバルな評価が高いため、外資系の金融機関や各種事業会社への転職を有利にされたい場合にも活用ができるでしょう。
会計・税務系資格
日商簿記検定
難 易 度:★☆☆☆☆~★★★★☆
オススメ度:★★★★★
- 日本商工会議所が提供している、商業簿記・工業簿記・会計学について学べる資格
- 会計の超基礎の3級から、工業簿記を含む2級、そして、会計士 / 税理士資格への入口となる1級までの3つのレベル
- 簿記・会計の基礎から、会計学・会計基準ほか、投資において財務諸表を見るための基本が身につく
簿記・会計が分かっていると、株式投資などでチェックしなくてはいけない「財務諸表」の意味を正しく理解することができるようになります。
また、当然ながら、最近ブームの複業や起業とも切っても切り離せない内容となっています。
会計士 / 税理士
難 易 度:★★★★★
オススメ度:★★★☆☆
- 言わずとしれた会計・税務業務についての国家資格
- 取得することで、税金についての専門的なアドバイス、上場企業の監査などの法定業務ができるようになる
簿記検定資格よりさらに財務諸表を深く理解したり、分析したりできるようになります。
また、投資にかならずついてまわる税金についての詳しい知識も持つことができます。
ただし、通常勉強に要する期間は数年にわたり非常に長くなりますので、本業として専門にされたい方におすすめします。
米国公認会計士(USCPA)
難 易 度:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
- 公認会計士資格のアメリカ版
- FAR、BEC、REG、AUDの4科目に所定期間内に合格することで、資格を得ることができる
- 資格制度が州ごとに異なるため、州毎の単位数などの受験資格を満たすことが必要
試験は当然英語になりますので、その点はハードルですが、金融・投資に関する情報を英語で読めるようになるのは大きなメリットでしょう。
また、金融・コンサルティング会社、事業会社を問わず、転職やキャリアアップに有利になるのは間違いありません。
受験には4年制大学の卒業や一定の経済や会計の単位数の要件がありますので、事前にチェックすることを忘れないようにしましょう。
米国公認管理会計士(USCMA)
難 易 度:★★★☆☆
オススメ度:★★★★☆
- アメリカでは米国公認会計士(USCPA)と並ぶ、二大会計資格
- Part1・Part2の2つの試験をクリアすることで合格となる
- USCPAと異なり、4年制大学を卒業さえしていれば、登録が可能
日本ではまったく知名度がないのですが、アメリカではかなり有力な会計資格として知られています。
米国公認会計士(USCPA)と比べると、本当にビジネスや投資の実務に必要な知識の割合が高いことが特徴です。
経営やビジネスの実践的な知識が高まりますので、英語で財務諸表が読めるようになるだけでなく、純粋にビジネスマンとしての力を高められる資格です。
ビジネス会計検定
難 易 度:★★★☆☆
オススメ度:★★★★☆
- 大阪商工会議所が提供している、ビジネスで会計を活用するための試験
- 財務諸表の内容の理解や分析など、日商簿記よりも財務諸表を実務で使いこなすことにフォーカス
- 1級から3級の3つのレベル構成となっている
日商簿記では、財務諸表をつくるための内容(記帳や決算)と財務諸表を理解するための内容の両方が含まれていたのに対し、
ビジネス会計検定では、財務諸表を理解し分析することをメインとしているので、投資家にとっては実践的な内容が多いと言えるでしょう。
なお、日商簿記とは内容の重複もありますので、あなたの目的に合う方いずれかを選択するようにしましょう。
その他資格
中小企業診断士
難 易 度:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
- 中小企業の経営にアドバイスを行うための国家資格
- 経営・ビジネス・会計・企業法務などのは幅広い分野から出題
- 第1次試験、第2次試験を合格の後、15日間の実務補習または診断実務につくことで中小企業診断士としての登録ができる
中小企業診断士は、ビジネスを理解し、改善するための幅広い知識が手に入る資格です。
この知識は当然、株式投資などに活かすことができますが、投資のためというよりは、
すでにビジネスコンサルタントの方やこれからコンサルティング業界を目指す方が取得すべき資格でしょう。
統計検定
難 易 度:★★☆☆☆~★★★★★
オススメ度:★★★★★
- 統計質保証推進協会が提供する、統計に関する知識や活用力を問う試験
- 1級、準1級~4級までの5段階のレベル
「統計」というと、数字や数学が苦手な方には少しとっつきにくいかもしれません。
しかし、海外では経済や金融関連の学部が理数系とみなされているように、投資と数字は切っても切り離せないものです。
例えば、投資のリターンやリスクを測るのには、すべて統計学の考え方が採用されています。
実は、経済学部出身の私も高校時代から統計や確率が好きで、けっこう勉強していましたが、これが本当に投資の実世界でも役立ちますね。
3. 投資に本当に役立つ!オススメの資格3選とは
ここまでいろいろな資格を見てきましたが、私が投資を実践する立場として、もっとも役立つと思うオススメ資格3つをお知らせしたいと思います。
日商簿記2級
まずは、日商簿記の2級です。
投資では、数字を理解できることは本当に「力」です。
株式投資だけでなく、不動産などその他の投資や複業などにも生かしていくことができます。
その基礎知識を気軽に学べるのが日商簿記2級と言えるでしょう。
受講料金も、たった4,720円(税込/2020年9月現在)とリーズナブルですし、会計系のスクールに通ってしっかり学ぶ場合も10万円未満で済むでしょう。
(人によっては、私のようにテキストや問題集だけで独学で取得することもできます。)
なお、学習にかかる期間は、簿記や会計がはじめての社会人の方でも6ヶ月もあれば十分かと思います。
また、直近6回の合格率はおよそ15~25%となっています。
実受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
154(2020.2.23) | 46,939名 | 13,409名 | 28.6% |
153(2019.11.17) | 48,744名 | 13,195名 | 27.1% |
152(2019.6.9) | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
151(2019.2.24) | 49,776名 | 6,297名 | 12.7% |
150(2018.11.18) | 49,516名 | 7,276名 | 14.7% |
149(2018.6.10) | 38,352名 | 5,964名 | 15.6% |
(出所)日商簿記検定webサイト受験データより
合格率だけで難易度を測ることはできませんが、比較的取り組みやすい難しさだと言うことができるでしょう。
英文会計が学べる資格
次に、英文会計が学べるUSCMA・CFA・USCPAなどの資格です。
世界中のどこにでも投資ができる現在の環境では、投資と英語を切り離すことはできません。
これまで投資の経験がある方も、「英語さえ分かれば…」と歯痒い思いをしたこともあるかもしれません。
そして、その英語でしっかりと投資の数字も読める英文会計の力があれば、大きなアドバンテージになります。
例えば、あなたが気になる会社があれば、世界中の銘柄の決算書を読んで投資することもできるようになりますので、本当に投資の世界が広がります。
統計検定2級
最後は、統計検定2級です。
以前、「統計学が最強の学問である」といった書籍もありましたが、投資の分野に限ってはかなり正しいと思います。
確率や統計の仕組みを知っていると、あなたがやっている「投資」というゲームを数字で正しく理解できるようになります。
また、起きている出来事を客観的に見ることで、投資中の精神的な安定を得やすくなります。
例えば、投資の前の段階では、数字のからくりを理解していると、筋の悪い投資案件にお金を出してしまうリスクを低くすることができます。
さらに投資中も、あなたが買った株の30%の値下がりが、過去のデータからして正常な範囲のことなのか、あるいは、それを超えた極端な動きなのか、判断できるようになったりします。
また、気になる統計検定2級の合格率ですが、およそ40%となっています。
検定種別 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2級 | 2,087 | 1,532 | 669 | 43.7% |
(出所)統計検定受験データ 2018年6月17日試験より
合格率だけで難易度を測ることはできませんが、多くの人に取り組んでいただきやすいレベルだと考えられるでしょう。
というわけで、あなたも質の高い知識を身につけて、ぜひ投資や資産形成を成功させてくださいね。
本記事が、あなたの成功の助けになれば、とても嬉しく思います。