本記事のもくじ
1. 【必見】個別銘柄の株式ポートフォリオの作り方
「株式投資を始めてみたいけど、個別銘柄の株式ポートフォリオの作り方が分からない…」
「個別銘柄に投資しているけれど、余りに多くの銘柄に投資しすぎて把握しきれなくなっている…」
株式投資を始めようとしている、あるいは始めている方の中には、こんな悩みを持っている方が多いのではないのでしょうか。
「株式ポートフォリオ 作り方」で検索すると山ほど情報が出てきますが、一体どれが正しいのかわからないですよね。
本記事では、30歳という若さでセミリタイアに成功した私が、「個別銘柄の株式ポートフォリオの正しい作り方」をお伝えします。
私はこれまで、自身の投資経験を活かし、数多くの方の資産づくりのお手伝いをしてきました。
30も40も銘柄を保有して、狙った通りのリターンが得られず、資産形成に失敗した方もいました。
逆に、自身の性格に合ったスタイルで、最適な数の個別銘柄でポートフォリオを形成し、大成功を収めた方も数多く見ています。
このように「資産形成のプロ」である私の実体験が基になっているため、個別株式投資に興味のあるどんな方にも役立つ内容になっています。
ぜひ、最後までお付き合いください。
2. 本記事で対象にする株式の個別銘柄への投資とは?
読み進めていただく前に、一点注意事項があります。
本記事で対象としているのは、「個別株式への直接投資」についてです。
例えば、トヨタやソフトバンクといった個別の会社の株式を直接購入するケースを想定しています。
株式に投資している投資信託やファンドへの投資に関するお話ではありませんので、注意してください。
3. 個別株式のポートフォリオづくりの注意点
それでは、個別株式のポートフォリオを作成するにあたり、いくつか注意点を見ていきます。
3-1. 個別株式のポートフォリオ全体での役割を大切にしよう
1つ目の注意点は、「ポートフォリオ全体の中で、個別株式が果たす役割を明確にしなければならない」という点です。
例えば、日常生活を送るにあたり、一定額の現預金は通常必要です。
このため、すべての資産を株式で持つ必要がある方は珍しいのではないでしょうか。
仮にすべての資産を株式で持っていた場合、どうしても現金化しなければならないタイミングに購入時と比べて大幅に下落していたらどうなるでしょうか。
明らかに大損してしまいますよね。
資産を増やすために投資しているのに、これでは意味がありません。
このように、各々の資産の目的に合わせて現預金・不動産・その他の現物資産・金融商品など、株式以外の資産を同時に保有するケースがほとんどでしょう。
このため、ポートフォリオ全体で何を実現しようとしているのか、そしてポートフォリオの中で株式の個別銘柄が果たす役割が何なのかを明確にしておく必要があります。
3-2. 分散しすぎると個別株式を持つ意味がなくなる
2つ目の注意点は、「リスク回避のためには分散投資が良い」という考えだけで安易に分散しすぎないことです。
一般的に、株式投資で15から20銘柄以上は「持ちすぎ」と考えてよいでしょう。
なぜならば、分散投資をすればするほどインデックスファンドにリターンとリスクが近づき、大きなリターンが狙えなくなるからです。
個別株式に投資するのは、インデックスファンドよりも大きなリターンを狙うことが目的のはずです。
しかし、せっかくあなたが銘柄選びの努力をしても、インデックスファンド以上にリターンを得られないのでは、意味がありませんよね。
20もの銘柄を、時間をかけて一生懸命選ぶのであれば、手数料の安い優良な投資信託を購入した方がよっぽど効率的です。
最も大切な資産は時間であるということを忘れてはいけません。
インデックスファンドよりも大きなリターンを得たいのであれば、投資先は10銘柄より少なくしましょう。
3-3. 分散してリスクを減らしたい場合はインデックスファンドの方がベター
3つ目は、分散投資により損をするリスクを減らしたい方は、個別株式投資よりもインデックスファンドへの投資の方が良いという点です。
前述の通り、「投資をするなら分散せよ」という格言がいたるところで飛び交っていますよね。
この格言をよく考えずに信じ込み、なんでもかんでも分散するスタイルを貫こうとする人がいます。
しかし、分散の目的はリターンと損失を相殺することです。
すると、損失も小さくなりますが、その分リターンも小さくなってしまっているのです。
過度な分散投資をしてまで個別銘柄を持つ意味はありません。
個別銘柄に投資をする目的は、通常は市場の平均よりも大きなリターンを狙うためです。
もしリターンのばらつきを抑えながら株式市場に投資したい、つまりリスクを抑えたいということであれば、インデックスファンドへの投資をお勧めします。
このように、分散してリスクを軽減したいのであれば、手数料の安いインデックスファンドを選びましょう。
3-4. あなたが見切れない銘柄数は持たないようにしよう
4つ目は、あなたが把握できないほどの多くの銘柄数を持たないようにすることです。
どんな投資方法を選択するにしても、四半期に一度はレポートや決算発表を見ることを強くお勧めします。
購入時には予想もしなかった出来事が投資先を襲っているケースなど、マイナスの変化に気付ける可能性が高まるからです。
平日は朝から夜まで仕事や家事に追われるような生活をしているサラリーマンや主婦の方は、なかなかこまめに決算発表やレポートを見る時間はありませんよね。
このため、保有するのは最大5銘柄くらいをおすすめします。
過剰な銘柄数でのポートフォリオ作成はやめましょう。
3-5. 個別銘柄の株主優待は基本的に無視しよう
5つ目は、個別銘柄の株主優待の誘惑に引っ張られてはいけないという点です。
日本の株式市場にしかない、独特の仕組みとして株主優待があります。
株主優待は、配当の代わりに様々な特典が受けられるという制度です。
お米や生活消費財、さらにはテーマパークのチケットなど、多岐に渡った株主優待が存在します。
「現物がもらえる」というお得感からか主婦を中心に人気があり、中には株主優待だけで生計を立てている投資家もいるほどです。
しかし、私の考えでは「株主優待は無視する」ことをお勧めします。
その理由は、正しいタイミングで損切りができなくなるからです。
優待のメリットに引きずられている人は、株価そのものが下がったときなどに、優待と株価の比較ができずフリーズしてしまいます。
多くの方の資産形成をお手伝いする中で、売るべきか保有しておくべきかの正しい判断ができなり、右往左往する人をあまりに多く見てきました。
このように、優待があると、株でリターンを得るために本当に必要な判断力が鈍ってしまいます。
株価と比較するのが難しい優待のことは忘れましょう。
どうしても「特典」にこだわりたいのであれば、配当だけを見るようにしましょう。
4. 個別株式の具体的なポートフォリオの作り方
ここでは個別株式ポートフォリオの作り方について、3つの具体例についてお話します。
しかし、作り方にはたくさんのバリュエーションがありますし、「これがベスト!」という方法があるわけでもありません。
あくまで一例として参考にされることをおすすめします。
また、あなたの性格に合うものを選ぶという視点も大切です。
というのも、あなたの性格に合わない方法を選んでも、結局は続けられなくなるものだからです。
では、3つの例を見ていきましょう。
4-1. 割安株ポートフォリオのつくり方
割安株(バリュー株)とは?
割安株とは、企業が出している収益、もしくは企業の保有資産に対して株価が安い銘柄です。
収益の比較では、PER(株価収益率)や営業キャッシュフローの比率を指標にします。
例えば、会社が1年で出している利益のたった5年分の値段で買える株は、一般的には割安株と言えます(注:市場や業種にもよります)。
保有資産との比較では、PBR(株価純資産倍率)や会社の流動資産の比率などを用います。
例えば、会社の保有している資産よりも安い価格で買えるものも、かなりの割安株と言うことができます。
わかりやすく言えば、50円で100円の会社資産が買えてしまう(!)というようなケースです。
このように、「収益をたくさん出している割に、または、保有資産もたくさんある割に、株価が安い」という株が「割安株」なのです。
割安株ポートフォリオを作るポイント
割安株ポートフォリオを作るポイントは、「ちゃんとした企業なのに、なぜか不人気」という銘柄を買うに尽きます。
アイドルや芸能人を使った派手な広告を打ち出しているのに、実は保有資産も少なく、収益がどんどん下がっている会社も存在します。
しかし、投資家への露出が派手なだけに人気があり、株価は比較的高いという状態になっているケースもあります。
まさに、「割高株」の典型ですね。
逆に、安定して収益を出しているのに、地味で面白みがないために投資家から見向きもされていない企業もあります。
そんな「割安株」の銘柄を目ざとく見つけ、投資するのです。
このように、割安株で個別銘柄株式ポートフォリオを固めてしまうのも1つのやり方です。
割安株ポートフォリオの注意点
ただし、割安株ポートフォリオにも注意点があります。
1つ目は、「不人気なモノを買うだけの勇気があるかどうか」という点です。
割安株の最高の投資タイミングは、「最も不人気な時」です。
しかし、不人気な株を買うのにはとても勇気が要ります。
例えば、あなたが買おうとしている銘柄について友達に話したとします。
すると、まったく時流に乗っていない銘柄なので、どうしてそんな会社の株を買うのかと不思議に思われたり、場合によっては批判されたりします。
さて、あなたはその銘柄を買う勇気はあるでしょうか。
ちょっと悩んでしまいますよね。
そう、「みんなが買わない不人気なモノ」を買うというのはとても勇気の要る行動で、自分を貫く覚悟が必要なのです。
このように、割安株で揃えるためには不人気な株を、自分の判断を信じて買う勇気が必要になってきます。
2つ目は、「本当にダメな会社かどうかを判断すること」です。
ビジネスモデルの陳腐化や経営破綻のリスクがある会社を典型例として、株価が低い理由がちゃんとある会社は絶対に買ってはいけません。
あるいは、それまでやってきた市場や需要などが、技術革新で消えてしまいそうになっている場合などもそうです。
このように、単に安いかどうかだけでなく、本当に投資家から見放されるべき理由があるかどうかをしっかり判断しましょう。
割安株でポートフォリオを固めるには、「最も不人気の時に買う勇気が必要」と「本当にダメダメな会社を見極める力が必要」であることは覚えておいてください。
4-2. 成長株ポートフォリオのつくり方
成長株(グロース株)とは?
成長株とは、業歴が短く業績も安定していないが、今後爆発的な成長を遂げる可能性のある銘柄です。
新しい技術や市場をリードする可能性のある会社などが該当します。
具体例を2つ紹介します。
まずは、米国のZOOM社についてです。
新型コロナウイルスが猛威を振るった昨年、ビジネスマンは非対面での会議や商談を余儀なくされました。
ビジネスシーンでの対面コミュニケーションの多くはビデオ会議に取って代わられ、代表銘柄であるZOOMの株価は大幅に値上がりしました。
さらに多くのビジネスマンが「在宅ワーク」の有効性に気づき、もうコロナ前のように「オフィス出勤が当たり前」という生活には戻らないと言われています。
よって、ビデオ会議システムは今後も拡大が予想され、競合との戦いに勝っていければZOOM社は市場をリードする銘柄になるでしょう。
2つ目は、米国のNetflix社です。
同じく新型コロナウイルスで「ステイホーム」を余儀なくされた人々は、自宅内の娯楽として「動画配信サービス」を選択しました。
テレビや映画館では見ることのできないドラマや映画を配信するというビジネス手法も相俟って、動画配信サービス業界は大きく躍進しました。
中でもNetflix社は同業界を牽引する企業であり、2019年に比べると株価は1.5倍~2倍近くまで上昇しています。
このように、革新的な技術や市場を牽引する可能性のある会社のことを、成長株と言うのです。
成長株ポートフォリオを作るポイント
では、成長株ポートフォリオを作成するためのポイントは何でしょうか。
最も重要なのは、市場の需要拡大や世間のトレンドをタイムリーに把握することです。
目ざとい投資家たちは、新型コロナウイルスが中国で流行し始めた瞬間に、ワクチン開発のモデルナ社やZOOM社の株を購入したそうです。
需要拡大を見込んで株を購入した典型的な例だとは言えます。
ただし、いくら成長株と言っても、まだ売上も利益率も低いケースも多く、想定通りに成長するかどうかは誰にもわかりません。
このため、最初から、「すべてで成功してやる」と思わない方が賢明です。
野球のバッターと同じく3割くらいの銘柄で成功すれば充分と考えるべきでしょう。
このように、成長株ポートフォリオ作りのポイントは、「需要やトレンドを敏感に察知すること」と、「3割成功すれば御の字くらいの気持ちで臨むこと」です。
成長株ポートフォリオの注意点
成長株の注意点は、個別銘柄の中でも「リスクが大きい」ところです。
まずは、経営破綻のリスクです。
成長株の中には、事業歴も浅く、まだ結果が数字に表れていない会社もあるでしょう。
まだまだ赤字経営の会社もあるかもしれません。
このため、成長株とされている会社の中には、経営破綻のリスクが高めの会社もあるという点には注意が必要です。
次に、高値掴みをするリスクです。
成長株とされているのは、割安株とは逆に、トレンディで人気な銘柄です。
投資家から人気の銘柄は、営業利益や保有資産の割に株価が高いという状態になっている可能性があります。
いわゆる「割高株」の状態です。
このため、「購入時の株価が最高値で、気が付けば大幅に下落していた」という高値掴みの状態に陥りかねません。
このように、経営リスクや大きな損失を出すリスクがある点には注意が必要です。
4-3. 高配当株ポートフォリオのつくり方
高配当株とは?
高配当株とは、株価に対して毎年の配当(会社の利益の分配)が高い割合で払い出されている銘柄です。
例えば、A社の株の配当利回りが5%だとします。
あなたがA社の株を10万円分保有していれば、毎年株価の5%、つまり5000円の配当金が支払われるという仕組です。
米国には毎年配当を増加(増配)している会社もあり、「配当貴族」などの呼び名がつけられている銘柄もあります。
このように、株価の割に毎年払い出される配当が高い株のことを高配当株と呼びます。
高配当株ポートフォリオを作るポイント
高配当株ポートフォリオを作る際のポイントは2つあります。
1つ目は、会社の業績自体の成長性や安定性を確認することです。
業績の安定性は、毎期の純利益や営業キャッシュフロー、配当をしっかり出せているかどうかで測ることができます。
借金が少なく、財務基盤が強固であるかどうかも確認し、破綻リスクのある会社は絶対に避けましょう。
なお、成長性については、成長に伴って配当が少しずつ増えていると理想的です。
2つ目は、業界で独占的なポジションを築けているかどうかを確認することです。
コカ・コーラ社のように、「コーラと言えばコカ・コーラ」という確固たる地位を築けていると、他飲料メーカーが市場に参入することが難しくなります。
結果的に、「ライバル社に負けて、大幅に売上が落ちてしまった」というような業績の下振れリスクが下がるのです。
このように、配当の額だけに惑わされず、会社の業績そのものの成長性・安定性や、業界でのポジションをしっかりと確認しましょう。
高配当株ポートフォリオの注意点
高配当株ポートフォリオ作成の際の注意点は2つあります。
1つ目は、株価を無視してはいけないという点です。
配当ばかりに着目すると、ついつい株価のことを忘れがちになります。
しかし、株価は下がるリスクも当然孕んでいます。
このように、株価が下落すると、配当だけでリターンを出せなくなるので注意しましょう。
2つ目は、配当が下がるリスクもあるという点です。
配当はさまざまな理由で下がることがあります。
シンプルに売上が下がったため、配当に回す余力がなくなってしまう例もあります。
技術の陳腐化で新たな工場を建てるなど、多額の設備投資のためコストがかさんでしまったというケースもあります。
特に現在は、「VUCA」と形容される先の見えない時代とも言われます。
将来何が起こるかわからない中で、配当が維持・増額され続ける保証はどこにもないのです。
また、経営陣がしっかりと株主還元を意識しているかどうかにも気をつけたほうが良いでしょう。
このように、高配当株に投資する際には、高配当株と言えども株価はチェックする必要があります。
配当減のリスクも考慮し、株主への還元を重要視した企業であるかどうかのチェックも怠ってはいけません。
5. まとめ:あなたの理想と性格にフィットした株式ポートフォリオをつくろう
ここまで、個別銘柄株式のポートフォリオについてお伝えしてきました。
「個別銘柄の株式をどのように組み合わせればいいかわからない」という悩みを持った方の背中を押す手助けができていれば幸いです。
また、30銘柄、40銘柄と分散投資をし過ぎて身動きが取れなくなっている方が、ポートフォリオを整理する決意を固められたら嬉しい限りです。
後半ではポートフォリオの作り方として、割安株、成長株、高配当株という3つの具体例を紹介しました。
株価が適正値になるのをじっくりと見ていられる方であれば割安株で、成長を見込んで大きなリターンを得たいという性格であれば成長株で、すでに引退などでインカムが必要な方は高配当株で、各々ポートフォリオを固めることをお勧めします。
ぜひ、ご自身の「性格に合った」投資スタイルを選んでくださいね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたが幸せな投資生活を送れるよう、応援しています。