誰も教えてくれない分散投資の2つの意味

1. はじめに

投資では、初心者の方でも、

「タマゴはひとつのかごに盛るな」

「いろいろな資産に分散して投資せよ」

などと聞いたことがあると思います。

 

要は、「投資は分散して行うのが正しい」ということですが、

この「分散投資」は正しく理解している人が非常に少ない概念のひとつです。

 

本記事では、みなさまが分散投資をうまく使いこなせるよう、

分散投資の2つの意味について、分散投資の起源までさかのぼってお話しています。

 

2. 分散投資の本当の意味

2-1. 利益と損失を相殺して、リターンのばらつき(=リスク)を小さくすること

まず、「分散投資」の本当の意味を理解しましょう。

それは、

『利益と損失を相殺して、リターンのばらつき(=リスク)を小さくすること』

です。

 

投資商品は、良かったり、悪かったり、銘柄や時期によって、当然さまざまなパフォーマンスを出します。

このパフォーマンスの「デコボコ」をならすのが、分散投資の第一の意味です。

また、経済学ではこの「デコボコ(リターンのばらつき)」を「リスク」と呼びます。

そのため、分散投資によって投資の「リスク」を下げることができるわけです。

 

そして、実はよく注目しておくべきなのは、前半の

『利益と損失を相殺して』

の部分です。

 

この部分に注目すると、もう一つの分散投資の意味が見えてきます。

 

2-2. 大きな損失の可能性を避ける代わりに、大きな利益の可能性も捨てること

パフォーマンスの「デコボコ」をならす、ということは、実はメリットばかりではありません。

『大きな損失の可能性を避ける代わりに、大きな利益の可能性も捨てる』

ことに繋がります。

 

つまり、分散で得られる以上の大きな利益(だけ)を得たい人にとっては、分散などしてはいけないのです。

大きな利益を望む場合は、大きな損失の可能性も裏返しに受け入れる必要があるということです。

 

必ず分散投資すべき、ということはない

結果として、「投資では全員が必ず分散をすべき」というような主張は、実際は間違いなのです。

 

分散すべきかどうかは、その人の「リスク許容度(資産状況や好み)」「投資のゴール(目的)」による、ということになります。

 

投資のゴールが、金額的に大きく・時間的に近いほど、分散は向かないですし、

金額的に小さく・時間的に遠いほど、分散しても良いということになります。

 

例えば、何十年もゆっくりと時間をかけて、老後の資産1億円を創りたい主婦の方なら、

分散してリスクを減らしても良い(その代わりリターンが劇的に高まることもない)ということになります。

 

一方で、短期間でセミリタイヤを果たしたいサラリーマンの方なら、分散のしすぎはゴールへの到達を遅くしてしまいます。

(また、通常はリターンだけでなく投資の元本を増やすための、投資以外の努力もしなくてはいけません。)

 

3. 現代ポートフォリオ理論(MPT)

少々難しそうな言葉が出てきましたが、これはハリーマーコウィッツという経済学者が考えた投資についての理論です。

彼は、この現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)でノーベル賞を受賞しています。

 

細かい理屈はさておき、この理論の投資家にとって役立つ結論は、

「パフォーマンスが相関していない複数商品に投資することで、

リターンを保ちながらも、リスク(リターンのばらつき)を軽減できる」

ということです。

 

いまでは、あたり前のように知っている金融界の人ばかりですが、

当時は非常にセンセーショナルな研究として注目を集めました。

例えば、同じ年利10%を目指す場合でも、ただ投資商品を組み合わせるだけで、

リスク(リターンのばらつき)を下げることができるわけです。

将来の結果を絶対にコントロールすることのできない投資において、

コントロール可能なポートフォリオで結果を良くしようとするこの理論は大変に魅力的だったのです。

 

いまでは、分散投資そのものは言葉としては馴染みのある方も多くなりましたが、

そのベースはこの現代ポートフォリオ理論にあるのです。

 

4. 分散投資は「魔法の杖」か?

先ほどお話したとおり、投資する商品ごとのパフォーマンスが相関していなければ

リターンのばらつき(=リスク)を抑えられるのが現代ポートフォリオ理論でした。

 

しかし、現実に適用するには、注意しなくてはいけない点があります。

それは、投資後に、個別商品のパフォーマンスの相関がどうなるかは誰にもわからないということです。

それは、私たちはパフォーマンスの相関を判断するために、過去の情報しか使えないからです。

 

近年は、株式と債券のパフォーマンスが相関することも多くなっており、リスクを下げるつもりが下がらなかった、ということも現実に起きています。

 

ひとつの商品に依存するよりは勿論良いのですが、複数の商品に分散したからと言って、必ず分散投資の効果が得られるわけではないのですね。

この点も分散投資を行うにあたっては、留意しておくべきことのひとつでしょう。

 

そのため、個人の必要性という観点でも、現実の不確実性という観点でも、

「必ず分散投資しなくてはならない」

という結論にはならないのですね。

 

5. まとめ

ここまで、分散投資の本当の2つの意味について、分散投資の起源までさかのぼってお話をしてきました。

 

やはり、投資においてのリスク(リターンのばらつき)のとり方は、単に分散に分散を重ねてやたらと減らすのではなく、

個人ごとの『許容度』と『必要性』に応じて、柔軟に調節していかなくてはいけませんね。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

八乙女暁

Midas Minds LLC 代表 ジャストフィット投資法™ 専門家 八乙女暁(やおとめさとる) 投資家/経営コンサルタント/米国公認会計士 30歳で資産10億円以上を得て、セミリタイヤを達成。 その経験とノウハウを活かし、あなただけの自由な時間を手に入れる “ジャストフィット”投資法をみなさまにお教えしています。 時間/お金/場所の「制限ゼロ」の人生を送る仲間を増やしたい、 その夢に向かって、日々活動しています。 2019年7月に初の著書の出版を予定。