本記事のもくじ
0. はじめに
『あなたの貯金や預金は毎日確実に減っています』
さて、あなたはこのフレーズを聞いてどう思われましたか?
・いや、そんなはずはない…
・日本は大した利率ではないけど、一応金利もついているはずでしょ?
そんな風に思われた方も多いかもしれません。
しかし、間違いなく、あなたの貯金や預金は、毎日・確実に減っていっています。
本記事では、その理由を詳しく解説するとともに、減っていく預貯金をどう守ればよいか、その考え方と方法についてお話していきたいと思います。
1. あなたの貯金や預金が間違いなく減っている理由
インフレにまったく耐えられない預貯金
あなたの貯金や預金が間違いなく減っている理由、
ーそれは、世界的な「インフレーション(物価上昇)」です。
最近の日本はさておき、世界の経済は全体としてはどんどん伸びています。
経済成長すると、必ずセットで起きること、それが「インフレーション」です。
経済全体で、会社や個人の収入が増えていくと、家賃やいろいろなサービス、嗜好品から身近な日用品・食料品まで、ありとあらゆるモノやサービスの値段が上がっていきます。
(もちろん、過去の日本もインフレを経験していますね。)
つまり、預貯金の「金額」が減っていなくても、実際の「価値」はいとも簡単に減ってしまうのです。
海外旅行で物価が高いと思ったら…
「世界の物価はかならず上がるものだ」
と言われてもピンとこない人も多いかもしれません。
そんな方は海外旅行を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。
旅行先に、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアを選んだことがある方、日本に比べて物価が高いなと思ったことはありませんか?
これは、実際には行った先の物価が高いというよりは、
「日本の物価だけ取り残されて上がっていない」
だけなのです。
また、ある知り合いのイギリス人から、
「最近の日本の物価は、タイのバンコクみたいだね」
と言われたこともあります。
要は、世界中物価が上がっているのに、日本だけ上がっていないから、物価の安いタイみたいになってきたね、ということです。
価値が目減りする預貯金だけで何もしていないと、グローバルでは何も買えない貧しい人になってしまう可能性があるということですね。
日本に一生いれば大丈夫?
それでも、こう思う方もいるかもしれません。
「私は、一生物価が上がらない日本にいるつもりだから、預貯金だけで暮らせるでしょ?」
と。
確かに、本当に物価が上がらないならば、問題ないようにも思えます。
しかし、実際にはインフレーション以外にも、預貯金だけにお金を集中させることにはさまざまなリスクがあるとしたらどうでしょう?
次のセクションでは、お金を貯金や預金に集中させる本当のリスクについてお話したいと思います。
(注:本記事での「リスク」は、本ブログ他記事の「リターンの振れ幅」ではなく、「危険性」や「元本が失われる可能性」などの意味合いで使っています。)
2. お金を貯金や預金に集中させる本当のリスク
老後必要資金の上振れ
まずは、そもそもの必要なお金が増えてしまうリスクです。
多くの方は、退職後や老後に備えて、お金を貯めることをひとつの目標にしているかと思います。
先日、「老後の不足資金2,000万円」などというニュースで騒がれましたが、いろいろな前提条件が少しでも変われば、簡単に必要な資金は増えます。
・公的年金に拠出されるお金が想定より少なかったら…
・公的年金の運用が想定より上手く行かなかったら…
・会社の退職金が想定よりもらえなかったら…
・老後に使うお金が想定より増えてしまったら…
…etc.
これだけのさまざまな前提条件をもとにしているものなので、単純に2000万円貯めようなどと思って対策すると、簡単に計算が狂います。
そのため、ほとんど増えない国内の預貯金だけに頼ると、資金不足に対応する余力が一切なくなってしまいます。
ちなみに、いま30代前半の私個人は投資を始めるときには、公的年金、その他の政府がしてくれるかもしれない経済的支援は「ゼロ」のつもりで、すべての準備をしてきました。
もらえるかわからないものはアテにしない、という保守的な見方をしているのもありますし、「国が守ってくれなかったから…」という言い訳で、私が守るべき妻や娘を経済的危機にさらすなんて、私にはありえないことです。
(参考記事:『貯金』でセミリタイヤしてはいけない7つの理由)
金融機関の破綻
次に、忘れてはいけないのは銀行などの金融機関の破綻です。
直近の日本では起きていませんが、リーマンショックのような金融危機が起きたとき、金融機関は簡単につぶれることがあると思ったほうが良いです。
銀行を始めとする国内の金融機関は、日本のゼロ金利政策や経営力の欠如で、徐々に儲からなくなり、財務体力がなくなってきています。
なにか危機があったときにも、耐えることが難しくなってきているのです。
「でも、ペイオフ(預金保険制度)があるでしょ?」と思う方もいるかも知れません。
これは、金融機関が潰れても1千万円までは、預金が保護されるという制度です。
もちろんこれは有り難い制度ですが、信用し切るのは考えものです。
リーマンショックのときに明らかになったように、グローバル化で世界中の金融機関は繋がりが強くなってきています。
そう考えると、一つの銀行が潰れるだけでなく、連鎖的にいくつもの金融機関がダメージを受ける可能性もあります。
当然、補償すべき金額合計が保険制度全体で保証しきれない額になれば、絶対に守られるとは限りません。
国家破綻/ハイパーインフレ
最後は、国家の破綻と続いて起こるハイパーインフレのリスクです。
ご存じの方も多いかもしれませんが、日本はGDPの約2.5倍の借金をしている「世界ナンバーワンの借金大国」です。
(出所)OECD Data 2015
※右端の赤枠で囲まれたところが日本。2015年データなので、直近はもっと増えています。
そして、社会保障費の増加その他の理由で毎年の財政も赤字のままです。
つまり、借金が減る気配は現在のところありません。
国の借金は、その国(や中央銀行)が発行するお金(日本だと日本円)を信用してもよいか?の大きな判断材料のひとつです。
最終的に、もし日本という国が信用されなくなった場合、日本円の価値が下がります。
それに合わせて、あなたの預貯金の価値は大きく目減りします。
そして、激しい物価上昇、ハイパーインフレーションと呼ばれるものが起きます。
具体的には、例えば預貯金から100万円おろしても、スーパーでまともに買い物できないことも起きる可能性があります。
直近では実際に、ジンバブエでハイパーインフレが起き、物価がたった1ヶ月で億単位の倍率(!)で跳ね上がることも起きています。
残念ながら札束を山のように持っていっても、何も買えなくなってしまったのですね。
(注:本記事での「リスク」は、本ブログ他記事の「リターンの振れ幅」ではなく、「危険性」や「元本が失われる可能性」などの意味合いで使っています。)
3. 貯金や預金のリスクに備えるためには?
それでは、これまで挙げた預貯金のリスクに備えるために、私たちはどうしたら良いのでしょうか?
実は、正しいやり方さえ知っていれば、備えることはさほど難しくはありません。
インフレ以上の利回りが期待できる資産を持つ
まず、1つ目はインフレーション(物価上昇)以上に、利回りが期待できる資産を持つということです。
具体的には、積立型の金融商品や投資信託(インフレに弱い債券等だけに投資するものを除く)、個別株式などに投資していきます。
こうすることで、インフレーションが起きた場合にも、それを超えて、資産の価値を増やしていくことができます。
(参考記事:投資で億万長者になる最も簡単な方法を公開します)
インフレに耐えられる資産を持つ
次に、インフレレーション(物価上昇)に耐えられる資産を持つということです。
一般的に、もっともインフレレーション(物価上昇)に強いと言われる資産、それは「現物資産」です。
つまり、実体のある不動産や金などの貴金属、あるいは、その他の形ある資産を持つのです。
これらは、インフレが進むと、一般的にそれに合わせて価格が上昇していきます。
実際に、直接実物を所有することもできますし、投資信託やその他ファンドなどのより手軽な形で間接的に所有することもできます。
常に自分にあった資産に乗り換える
最後に3つ目は、常に自分にあった資産に乗り換えるということです。
先ほどもお話しした通り、国の発行するお金ですら、国の信用力によって価値が変動していきます。
そうだとすると、当然他の資産であればなおさらもっと価値が変動します。
そのため、いつでも自分に合うもの、価値を保つことが出来るものに乗り換える必要があります。
一生じっとこの資産さえ持ち続けていれば大丈夫、などというものは残念ながらありません。。
しかも実際には難しいことではなく、自分で行うこともできますし、プロが運用する金融商品を通じて、人にやってもらうこともできます。
(参考記事:【部屋の空気と同じ】お金や資産はどんどん『入れ替え』しよう)
4. 投資の正しい考え方を身につけよう
正しい考え方を持つことが一番の対策
ここまで、預貯金のリスクに備える具体的方法についてお話してきましたが、実はそれよりも大切なことがあります。
それは、自分のお金や資産について、正しい考え方を身につけておくことです。
当然ながら、人によっていま持っている資産も違えば、最終的に目指すところも違います。
結果として、人ごとにマッチする投資の方法もまったく違ってきます。
そのため、自分に合う方法を見つけることができる正しい考え方を持つことが、遠いようで一番の近道なのです。
(参考記事:【保存版:投資とは?】意味も知らずに投資してるやつちょっと来い)
増やすことの前に、価値の保全を考えるのが投資
ゼロ金利が続いている日本では、「投資=お金を増やすもの」という風に思う方が多いようです。
しかし、増やす前に考えるべきことは、『減らさないこと(=守ること)』です。
投資の世界では、「お金を増やすより、減らさないほうが難しい」と言われます。
これは、手持ちの資産の価値を減らしてしまうと、投資だけで回復させることが難しいので、資産の価値を失わないことを一番に考えなさい、ということです。
実際に、私の身の回りの投資家たちも、まず減らさないことをとても大切にしています。
そのために、いろいろな資産への配分をとても慎重に考えるのです。
そのように考えると、単に減らさないという意味でも、預貯金だけに資産を集中させているというのは、ありえない選択をしていることが改めてわかりますね。
(参考記事)
【良い預け先を選ぶだけでは不十分!】資産を守り抜く究極の方法
貯金してから投資しようでは「遅い」
多くの方が、預貯金をしっかりつくってから投資しようと考えたり、巷でも貯蓄してから投資すべき、と言われたりします。
しかし、まとまった預貯金ができてからでは完全に「遅い」です。
それは、前段でお話した通り、
「あなたの預貯金は、毎日・着実に減っている」
からです。
お金の価値を減らしてから投資していては、マイナスからのスタートになりますので、成果を出すのが圧倒的に難しくなります。
それより、いま投資のための余裕資金がなくても、毎月少額で良いので、自分に合う投資商品を始めることが大切なのです。
(参考記事)
【貯金禁止】生活費の銀行口座は毎月”カラッポ”にしてしまおう
5. まとめ
・日本の預貯金だけに資産を集中させている人は、インフレーション(物価上昇)によって、毎日資産の価値を失っている
・預貯金は、インフレーションに耐えられないだけでなく、老後の必要資金が上振れするリスク、そして、国家や金融機関の破綻リスクもすべて丸抱えすることになる
・そこで、インフレ率以上の利回りが期待できる資産(投資信託や株式など)やインフレに非常に強い実物資産(不動産や貴金属など)にも投資することが重要になる
・個人がリスクを避け、経済的に身を守るには、自分のお金や資産について、正しい考え方を身につけておくことが一番の近道
・貯蓄してから投資しようとしても、毎日価値が減ってしまうので遅い。少額でも良いので、毎月投資する仕組みをつくるのが大切
いかがだったでしょうか?
私は、毎月貯金をされているような真面目な方にこそ、本当の意味での経済的安心を手に入れて欲しいと思っています。
本記事がそのような方のお役に立ちましたら、本当に嬉しいことです。
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