1.【不動産投資に資格は必要?】勉強すべき12の資格を徹底比較
不動産投資そのものを実践するのに、資格は必須ではありません。
しかし、正しい知識を身につけて成功に近づきたい!と考える、志の高い方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、自身でも2桁以上の不動産購入を経験し、米国公認会計士としての資格も持つ筆者が、不動産投資に関する12の資格を徹底比較します。
なお、投資や資産形成にそもそも勉強が必要なのかどうか、くわしく知りたいという方は、下記の参考記事をご覧ください。
2. 不動産投資を勉強するための12の資格の概要と評価

まずは、不動産のプロフェッショナル向け資格7つを見てみましょう。
宅地建物取引士
難 易 度:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
- 売買や仲介などの宅地建物取引業の免許を受けるために、必須の資格
- 試験合格後、都道府県知事の資格登録と宅地建物取引士証の交付を受けることで、宅地建物取引士となることができる
- 土地・建物に関する、価格評価や実務・法律などを幅広く学ぶことができる
- 受験資格に制約がなく、幅広い方が受験することができる
「宅地建物取引士」といえば、不動産を購入するにあたって、必ずお世話になる非常にポピュラーな資格です。
土地・建物に関する価格評価の理論と実務がわかりますので、内容としては、不動産投資家に役立つものが多いと言えるでしょう。
さらに、物件と取引状況によっては、自分自身が仲介取引を担当して、手数料を節約することもできるでしょう。
しかしながら、基本的には不動産を本業としている方向けの資格です。
あなたが不動産のプロを目指していなければ、受ける必要は基本的にないでしょう。
公認 不動産コンサルティングマスター
難 易 度:★★★★☆
オススメ度:★☆☆☆☆
- 公益財団法人 不動産流通推進センターによる認定資格
- 売買・賃貸借のみならず、土地や建物の有効活用、不動産投資、不動産の相続まで、幅広い知識を持てることが特徴
- 試験合格に加えて、5年以上の実務経験を経て、資格登録を行うことができる
- 宅地建物取引士資格登録者、不動産鑑定士登録者、一級建築士登録者のみが受験できる、上級資格
宅地建物取引士より、さらに広範な知識が求められ、投資家目線での知識やスキルも身につくのが「公認 不動産コンサルティングマスター」です。
しかし、受験資格は、「宅地建物取引士資格登録者」「不動産鑑定士登録者」「一級建築士登録者」となっており、そもそも受験するまでにかなりの時間と労力を必要とします。
不動産関連のコンサルティング業を専門とする方、あるいは、これから専門としたい方以外は必要ないでしょう。
不動産鑑定士
難 易 度:★★★★★
オススメ度:★☆☆☆☆
- 土地や建物の価格の評価・鑑定を専門とする国家資格です
- 短答式試験、論文式試験、実務修習を経て、不動産鑑定士となることができます
- 試験内容は、不動産鑑定の理論から行政法規、民法、経済学から会計学まで、多岐にわたります
不動産の適正な価格とは、不動産投資において、最重要のテーマの1つです。
その「適正価格」を専門の仕事として扱うのが、「不動産鑑定士」です。
しかしながら、試験内容は多岐にわたり、必要な勉強時間は2,000~5,000時間とも言われます。
そこまでの勉強時間をかけるくらいであれば、不動産投資を行うために直接必要な勉強をした方が効率的でしょう。
マンション管理士
難 易 度:★☆☆☆☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
- 管理組合側の立場として、マンション自体やその管理組合を円滑に運営・管理するための資格
- マンションの管理についての法令や実務、管理組合の運営、建物の修繕に関する内容などが試験範囲
- 公益財団法人マンション管理センターが試験を実施
マンション管理士は、管理組合側の立場として、マンション自体やその管理組合を上手に運営・管理するための資格です。
試験の内容は、不動産投資自体に役立つものはほとんどありません。
よほどあなたの本業やお住いのマンションの管理組合に必要な場合を除いて、取得する必要はないでしょう。
管理業務主任者
難 易 度:★☆☆☆☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
- マンションを管理する業者の立場として、管理組合等に対して契約に関する重要事項の説明や事務報告を行う際に必要な国家資格
- 出題の範囲は、管理業務の委託契約やマンションの建物などのメンテナンスについてなど、マンション管理業務に関するもののみ
- 一般社団法人マンション管理業協会が国土交通省の指定を受けて試験を実施
管理業務主任者は、マンションの管理会社の立場から、管理組合などに対して、各種の説明や報告を行うための資格です。
試験の内容も、通常個人が行う不動産投資には、ほとんど関係がありません。
あなたが、マンションの管理業務に携わっていなければ、取得する必要はないでしょう。
ホームインスペクター(JSHI公認 住宅診断士)
難 易 度:★☆☆☆☆
オススメ度:★☆☆☆☆
- 目視中心で、建物全体の施工不良や施工精度などの一次的な診断を行う技能が身につく資格
- 日本ホームインスペクターズ協会が実施
不動産投資において、購入する物件の施工や経年劣化などの状況を正しく把握することはとても大切です。
私自身も物件の購入の際は、建物に歪みがないか、外壁の亀裂など、注意深く確認する作業を怠ったことはありません。
そういった意味で、ホームインスペクター資格は役に立つ部分もあるかとは想います。
一方で、自分で技能を身につけるよりも、信頼できる建物のプロに相談した方が精度も高く、効率的だと考えられます。
ホームインスペクションを一つの専門としたい建設や住宅業界の方以外は、取得する必要性は低いでしょう。
土地家屋調査士
難 易 度:★★★★☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
- 不動産の「表示に関する登記」を、顧客に代行して申請できる国家資格
- 試験内容は、不動産の測量に関する知識/スキルや不動産登記に関する法的知識など
- 受験資格に制約はなく、筆記試験と口述試験を突破することで土地家屋調査士になることができる
不動産の「表示に関する登記」とは、あなたが自分の収益物件や自宅を新築した際に必要となる法的手続きのことです。
表示登記をすることで、正式に新しい建物の存在やその所有者を法的に記録しておくことができます。
土地から収益物件を建てる場合には、この手続きが必ず必要になりますが、当然自分でやる必要はありませんし、単なる事務手続きとしての要素が強いものです。
自分で資格を取ってしまうよりも、必要な都度、プロに相談して進めれば十分でしょう。
次に、不動産投資家向けの資格3つを見てみましょう。
不動産実務検定
難 易 度:★☆☆☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
- 日本不動産コミュニティーが実施する不動産投資の専門資格
- 不動産投資家になる、あるいは、所有する物件の運営を健全化するなど、不動産投資の実践的な内容を含む
- 2級・1級・マスターの3つのレベルで学ぶことができる
内容として、不動産投資を実際に行うための実践的な知識を学べる点では評価できると思います。
一方で、不動産投資とは非常に投資方法のオプションが広いものです。
あなたに合った選択肢を探すために、わざわざ本資格を取る必要があるかは微妙なところです。
賃貸不動産経営管理士
難 易 度:★★☆☆☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
- オーナーから預かった賃貸不動産の管理業務についての専門資格
- 入居者募集から、家賃の集金、オーナーへの報告送金、クレーム対応まで、幅広い賃貸不動産管理業務について学べる
- 受験資格は特に無く、全国統一試験を合格することで、資格を得ることができる
収益不動産の管理にあたって、ほとんどの投資家は賃貸管理会社にお世話になることになります。
彼らは、オーナーに代わって、家賃の集金、オーナーへの報告送金、クレーム対応、その他細かな雑務までこなしてくれます。
収益不動産を運営するにあたって、その知識を得ること自体はムダにはなりませんが、賃貸管理業務に本業として関わる人以外は、取得の必要性は低いと言えるでしょう。
住宅ローンアドバイザー
難 易 度:★☆☆☆☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
- 住宅ローンを正しく選択することができるように、住宅ローンについての正確な商品知識、リスク、情報などを、アドバイスするための資格
- 基礎編・応用編の講習を受講し、効果測定を突破することで、資格を取得することができる
- 一般社団法人住宅金融普及協会が主催
不動産ローンそのものについて理解しておくことは大切ですが、自分で返済する住宅ローンと、主に賃借人が返済する収益物件のローンは考え方がまったく異なります。
アドバイザーとして、住宅ローンに関わる方以外は取得する必要はないでしょう。
最後に、その他の資格3つを見てみましょう。
日商簿記検定
難 易 度:★☆☆☆☆~★★★★★
オススメ度:★★★☆☆
- 不動産投資とも切っても切り離せない、簿記・会計の考え方や税金の取り扱いの基礎が学べる
- 3級、2級、1級の3つのレベルで学ぶことができる
- 不動産投資以外の投資やビジネス、複業にも役立てることができる
どの投資の分野でも、かならず出てきてしまうのが、会計や税金のテーマです。
不動産投資においても、会計や税金をある程度理解していなければ、投資によってお金を残すことが難しくなってしまいます。
また、税理士や会計士など外部の専門家を活用する場合も、最低限の知識がある方がさらに上手に活用できるでしょう。
そういった意味で、取得して絶対にムダにならない資格と言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナー(FP技能士)
難 易 度:★☆☆☆☆~★★★★☆
オススメ度:★★☆☆☆
- 個人の家計改善や資金計画から、不動産を含むいろいろな資産を活用したライフプランニングが学べる
- 3級、2級、1級に加えて、上位の認定資格であるAFPやCFPを取得することができる
- 日本FP協会が主催する民間資格
適切な家計改善やライフプランニングは、不動産投資を行う上でも、そのベースの一つとして役立つものです。
しかしながら、不動産による投資や資産形成の正しい考え方は必ずしもファイナンシャルプランナーの発想の延長線上にあるものばかりではありません。
むしろ、借入金の取り扱いなどは、不動産投資では「できる限り返さない」がセオリーであるのに対し、ファイナンシャルプランニングでは「できる限り早く返す」と考えるなど、持つべき発想が真逆である場合もあります。
保険のセールスなどをされている方を除いて、取得の必要性はあまり高くないと考えて良いでしょう。
司法書士
難 易 度:★★★★☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
- 不動産や法人の登記申請を行うほか、簡易裁判所などでの訴訟手続などを行うことができる国家資格
- 選択式・記述式からなる筆記試験に合格して、口述試験にも合格することで、資格を取得することができる
- 弁護士と並び、私たちに非常に身近な法律家のひとつ
不動産を購入する際には、必ず「登記」の手続きが必要になります。
これは、ある土地や建物があなたのものであることを示すために法的に記録をしておくものです。
基本的に、事務手続き的な要素が強いので、外部の司法書士さんに任せておけば問題ないでしょう。
3. 不動産投資家として成功するための大切な3つの姿勢

さて、ここまで不動産投資に関する12個の資格について見てきました。
当然、役に立つものもありますが、投資を実践する上では必須と言えるものはありません。
むしろ、下記でお話するような3つの姿勢で不動産投資を学んで実践することが何よりも大切でしょう。
実際のさまざまな物件に触れて学ぶこと
不動産は、いくら書籍やオンラインの情報など、机上ばかりで勉強しても分からないことがたくさんあります。
ある程度勉強を重ね、あなたが取り組みたい方向性が分かったら、実際に仲介業者さんや物件検索サイトから実際の物件の情報をもらうようにしましょう。
そうすると、「もしかしたら買えるかもしれない」具体的な物件を目の当たりにすることになりますので、とても学習が進みます。
本や動画では気にならなかった細かいポイントまで、きちんと”自分事”として深く学ぶことができるのです。
その都度疑問に持つこと/丁寧に調べること
不動産投資を勉強し始めたばかりの頃は、知らないことばかりだと思います。
そのため、何かわからないことがあった時に放置せずに、疑問に思って丁寧に調べる姿勢がとても大切です。
書籍やオンラインなどで情報収集をすることもさることながら、仲介業者さん、施工会社さん、税理士/会計士さん、損害保険会社さん、知り合いの不動産投資家さんまで、あらゆる人に納得するまで質問するようにしましょう。
また、同じ質問であっても、人によって考えていることが違いますので、できれば不動産で大きく成功している人に相談するようにしましょう。
こうすることによって、どんどん正しい知識を積み重ねていくことができるでしょう。
不動産の各専門家を上手に使うこと
不動産投資家の役割とは、一言で言うと「プロデューサー」あるいは「オーガナイザー」です。
金融機関、仲介業者さん、施工会社さん、リフォーム会社さん、税理士/会計士さん、損害保険会社さん、その他の関係会社さんを上手に動かして、一つの収益物件を投資の成り立つ形に仕上げていく必要があります。
その点、自分が高度な専門知識を持とうとするよりは、自分で最低限以上の知識を持った上で、関係者の力を活かすことを考えるべきでしょう。
また、とても重要な契約書や税金などのテーマは複数の専門家から、セカンドオピニオンを取ることも大切です。