本記事のもくじ
1. 【投資初心者必見】わたしにも資産のポートフォリオは必要ですか?
「投資を始めたけれど、ポートフォリオを考えて作る必要ってあるのかな…」
「ポートフォリオってなんだが難しそうだし、お金をたくさん持っているプロの投資家が考えるものだよね。私にはあんまり関係ないかな…」
昨今、学生や若手社会人のうちから資産形成に関心を持ち、実践する人が増えてきています。
そもそも手持ち資産の少ない投資初心者の中には、ポートフォリオを作る必要があるのか悩んでいる人も多いようです。
しかし、「ポートフォリオをしっかり考える必要があるのは、資産をたくさん持ち、投資経験が豊富な人である」という認識は、大きな間違いです。
本記事では、投資による資産形成づくりに成功し、わずか30歳でセミリタイアした私が、ポートフォリオの重要性とその理由についてお伝えします。
私はこれまで、自身の投資経験を活かし、数多くの方の資産づくりのお手伝いをしてきました。しっかりと考えたポートフォリオを作らずに投資して資産形成に失敗した方や、逆に確固たるしっかりとブレないポートフォリオの形成によって大成功を収めた方も数多く見ています。
このように、「資産形成づくりのプロ」である私の実体験が基もとになっているため、きっとどんな方にも役立つ内容になっているかと思います。
ぜひ、最後までお付き合いください。
2. そもそも投資や資産づくりのポートフォリオとは?
そもそも「ポートフォリオ」とは何でしょうか。
投資の世界では、「資産の組み合わせ」という意味で用いられます。
資産の例として代表的なものは下記の通りです。
- 株式
- 債券
- 不動産
- コモディティ(貴金属や資源、その他の現物資産)
- オルタナティブ投資(ヘッジファンド/VCファンドなど)
また、ポートフォリオを考える上では、「どのエリアに投資するか」や「円で持つか、USドルで持つか」などの様々な観点を持つ必要があります。
さらに、ポートフォリオを形成する各資産の目的、つまり「いつ、何のためにいくら使う資産か」という点も明確にしておかなければなりません。
このように、ポートフォリオは「目的・リスク・リターンなどを考慮しえた上で作る、複数の資産の組み合わせ」であると定義できます。
ポートフォリオについては下記の記事に詳細の記載があります。
基礎的な部分が分かる内容となっており、本記事の理解に大変役立ちます。
ぜひ一度読んでみてください。
3. どんな人でも資産のポートフォリオ作りが必要な5つの理由
本記事の冒頭では、多くの投資初心者はポートフォリオ作りが必要かどうか悩んでいることをお伝えしました。
結論から言うと、どんな人でも資産のポートフォリオ作りは必要です。
それでは、私が考える5つの理由を見てみましょう。
3-1. 大前提:今ある資産を運用するだけがポートフォリオではない
1つ目の理由は、未来のゴールに向けた道筋を明確にするためです。
投資をして間もない方の中には、「現在の手持ちの資産はさほど多くない」と感じている方も多いと思います。
しかし、手元の資産だけでポートフォリオを考えるのではなく、これから積み立てる資産を考えた上でポートフォリオを作っていく必要があります。
なぜなら、資産形成づくりの目的は、「未来のどこかのタイミングでお金を使えるようにすること」だからです。
未来のゴールを達成できるような資産形成を考えるために、リターンやリスク、手数料、満期設定まで考えた上で、ポートフォリオを形成する必要があります。
例を挙げて説明します。現在100万円の貯金を持っている30歳のAさんは、40歳のタイミングでマイホームを建てるために、頭金1000万円を貯めようと考えています。
Aさんは、現在手元にある100万円の貯金でいくつかの資産を買いました。
「現金預金70万円、年率3%の投資信託10万円、年率1%の債券20万円」というポートフォリオの完成です。
しかし、これからどのくらいお金を積み立てられるかということはあまり考えず、現在の100万円だけのことを考えてポートフォリオを組んでいます。
さて、Aさんのポートフォリオは正しいと言えるのでしょうか。
「10年後に1000万円の現金」という目的を考えた場合、正解とは言い難いですよね。
これから積み立てる資産や、リスク・リターン・満期を考えた上で、ポートフォリオを考えておくべきではないでしょうか。
このように、ポートフォリオを作成する理由として、未来のゴールに向けた道筋が明確になるという点が挙げられます。
今ある資産だけを考えて、近視眼的に作成してはいけません。
3-2. いま手元にある資産は未来の大きな資産だから
2つ目の理由は、今手元にある資産が、未来に大きく増える可能性を見越しておく必要がある点です。
ここで質問です。
あなたの手元に100万円があるとします。
この100万円は、10年後にはいくらになっているでしょうか。
Bさんは、100万円をタンスの中に入れっぱなしにしていました。
10年後、Bさんがタンスを開けたところ、100万円はなんと…100万円のままですよね。
しかし、Bさんがもし100万円で年利7%の商品を購入し、利息も含めて10年間運用したらどうなるでしょうか。
複利効果により、なんと100万円はおよそ2倍の196万円にまで上昇します。
今度は逆に考えてみます。
25歳のCさんは、リタイアする65歳のタイミングで5000万円が欲しいと考えています。
しかし、Cさんは現在340万円の貯金しか持っていません。
Cさんは、340万円を年利7%で運用することにしました。
340万円という金額は、年利7%で65歳まで運用すれば、なんと5000万円に化けます。
つまりポートフォリオの中の340万円は、40年後も340万円のままではなく、5000万円となることを見越していなければなりません。
将来化ける金額を見越していないとどんな弊害があるのでしょうか。
十分な老後資金を確保できる状態になっているにも関わらず、「老後のためにお金が必要だが、ポートフォリオ上340万円しかない。もっと貯めなければ…!」という考えが働いてしまう可能性があります。
本来であれば他に有効活用できるはずのお金を、必要以上に老後資金に回してしまったりするリスクが生じてきます。
老後資金が増えるのは悪いことではないですが、その分現在の生活を快適にするためのお金を削ってしまっては、豊かな人生とは言えないですよね。
このように、あなたの手元にいまある資産は、投資によって増やすことができます。
現在の資産が少額だったとしても、投資によって資産が増えることを見越して、投資初心者もポートフォリオを作る必要があるのです。
3-3.初心者ほど正しいポートフォリオかどうかで大きな差になる
3つ目の理由は、投資の初期に正しいポートフォリオを形成できるかどうかによって、未来に大きな差が生じることです。
この理由は、大きく分けて2つの観点から説明することができます。
まず、「時間」という観点です。
冒頭にも述べたように、若い投資初心者の方ほど「若いからまだいいや。ポートフォリオなんてお金持ちのおじさんのためのものでしょ」と思っているのが現状です。
しかし、若いということはそれだけ残りの人生に時間があるということです。
つまり、それだけ長く投資できる期間があるということになります。
このため、投資を開始したタイミングで適切なポートフォリオを作っておけば、投資期間が長い分大きな資産形成が可能になります。
次に、「元金」という観点です。
投資を開始したタイミングにおける資産が少なければ少ないほど、その後の人生のクオリティに差がつきやすいという事実をご存知でしょうか。
まず、親からの遺産を引き継ぎ、25歳の若さで1億円を手にしたDさんの例を紹介します。
Dさんは好きな車を購入し、憧れだったタワーマンションに住み、子供にも最高レベルの教育を提供できています。
資産運用も上手なDさんは、10年で資産を3億円まで増やすことに成功しました。
しかし、資産総額が増えただけで、既に欲しいものをすべて手に入れていたDさんの生活に特に変化はありませんでした。
次に、Eさんの例を紹介します。
Eさんは現在25歳、100万円の貯金があります。
給料の低い中小企業に勤めており、家賃6万円のアパートに住んでいます。
自分の車を持つこともなく、住みたい場所に住むこともできない状態でした。
しかし、効率の良いポートフォリオを作り、コツコツと資産形成をした結果、Eさんは40歳で3000万円の資産を手に入れます。
憧れのマイホームと高級外車を購入し、子供を私立の小学校に通わせることもできています。
「25歳の頃の生活に比べると、天と地ほどの差があるなあ…」過去の貧乏暮らしを思い出すと、Eさんはそう強く感じることでしょう…
このように、元金が多ければ多いほど、資産が増えてもその後人生に変化は少ないです。
一方、元金の少ない人ほど、投資開始時点の生活と資産形成に成功した時点の生活に大きなギャップが生じます。
元金の少ない投資初心者がこそ正しいポートフォリオを作るにこだわるべき理由はここにあるのです。
このように、投資の期間が長く、元金の少ない投資初心者も、適切なポートフォリオを作成すべきなのです。
3-4. 正しいポートフォリオでないと大切な資産の価値が減る
4つ目の理由は、正しいポートフォリオを作ることで、資産価値の減少を防ぐことができる点です。
投資や資産づくりというと、日本では資産を増やすイメージを持っている方が多いです。
「投資=博打」のように考えている人が多いのもうなずけます。
しかし、グローバル・スタンダードにおける投資の最優先事項は、「資産を守る/減らさない」なのです。
自分の大切な資産を守るためには、闇雲に投資しても失敗します。
適切なポートフォリオを作ることが必要なのです。
具体例を挙げて説明します。
アメリカのある企業の株価が上昇することを信じ、全財産の1000万円を一極集中投資したFさん。
10年以上前にAppleに投資していた人が億万長者になった話を読み、強い憧れを描いていたのです。
しかし、この企業は新型コロナウイルスで大打撃を受け、株価は半分にまで下落してしまいました。
このように、Fさんは500万円という大損を抱えてしまったのでした。
一度減らした資産を元に戻すのは大変です。Fさんは、元金1000万円を500万円に減らしてしまいました。
つまり資産は50%減少しています。
しかし、500万円を元手にまた1000万円を作るためには、元金と同じ額である500万円、つまり100%のリターンが必要になります。
Fさんは適切なポートフォリオを作らなかったことを大いに後悔しました。
同時に、一極集中投資で資産を減らしてしまうリスクを身をもって理解したのでした。
対して、Gさんは一極集中投資にはリスクがあると考えていました。
投資額はFさんと同じ1000万円ですが、株式・債権・不動産など様々な商品に分散投資していました。
リスク、リターン及び資産の目的も明確な、いわば完璧なポートフォリオを組んでいたのです。
確かにコロナの影響でいくつかの資産は下落しましたが、中には価値が上がった商品もあったため、総資産額は常に1000万円を超えていました。
このように、正しいポートフォリオを形成することで、経済危機のタイミングでも資産を守ることができるのです。
では、資産を守る/減らさないためのポートフォリオはどのように作成すればいいのでしょうか。
先のFさんとGさんの例から明らかですが、一極集中型の投資はやはりリスクが大きいです。
株価が下落するリスク、円高・円安に伴う為替リスク、投資先の国の政情が不安定であるリスクなど、様々なリスクを考える必要があります。
このように、様々な商品に資産を配分したポートフォリオを形成することで、資産価値の減少を防ぐことができるのです。
3-5. 目的にあったポートフォリオを作っておかないと使いづらくなる
5つ目の理由は、目的に合致したポートフォリオを形成し、資産を使いやすくすることです。
貯金だろうが株式投資だろうが、どの資産も最終的には「使う」ことがゴールです。
言い換えれば、どの資産にも「✖✖年に△△のために〇〇円を使う」という明確な目的がないといけません。
もし各資産のゴールを見据えたポートフォリオを形成していないと、使いたいタイミングで必要な資産が形成されていないという事態になりかねません。
例を挙げて説明します。
Hさんは、「何かあった時のために」という漠然とした目的で、ポートフォリオを組んでいました。
勧められるがままにハイリスク・ハイリターンである投資信託を積み立てで購入し、残りは貯金に回していました。
Hさんには高校生の子供がいました。
成績優秀であり、高校3年の春に急に「医学部に行きたい」と言い始めました。
Hさんは大慌てです。
なぜならば、私立の医学部は6年間の費用がトータルで2000万円~4000万円ほどかかると言われているからです。
急に大金が必要になったHさんは、積み立てたままほったらかしにしていた商品をチェックしてみました。
すると、大幅な元本割れを起こしており、とても医学部の学費を賄えるような金額にはなっていませんでした。
「子供が大学に入学するタイミングに備えた商品を購入しておくべきだった…」と、Hさんは大いに後悔しました。
対してIさんは、各投資商品の目的が明確であったポートフォリオを組んでいました。
「子供が大学生になる10年後に、学費として1500万円貯めておきたい」というゴールを設定し、年利5%の投資信託を毎月10万円ずつ購入していました。
また、「30年後、65歳になったタイミングで、生活資金として1000万円が手元に残るようにしたい」という目的で海外の積立型商品を利用し、元本割れするリスクの低い商品に定期的に積み立てていました。
Iさん家族は、大きなお金が必要になるライフイベントのタイミングにも全く動じることはありませんでした。
決まったタイミングで現金化できるよう、ポートフォリオを組んでいたからです。
このように、設定したタイミングで狙い通りの額の現金を使えるようにするためにも、目的に応じた資産で形成されたポートフォリオが必要なのです。
4. まとめ:初心者こそしっかりと正しいポートフォリオづくりを学ぼう
これまで、ポートフォリオを組むことの大切さについてお伝えしてきました。
投資の初心者であろうがベテランであろうが、ポートフォリオの作成は重要であることはご理解いただけたかと思います。
結婚式、出産、住宅購入、子供の教育資金など、先々のライフイベントに備えて資産形成をしておくことは重要です。
先にも述べた通り、タンスの中の100万円は10年後も確実に100万円です。
しかし、投資によって100万円は10年後に2倍に増える可能性もあるのです。
ぜひ、資産形成のためには投資を、そして、明確なポートフォリオを作成し、お金に左右されない幸せな人生を歩んでください。