2019/03/17 見出し・図表を追加し、全文をリライトしました
1. はじめに
「人生100年時代」
ということが言われて、数年経ちますが、みなさんはこのフレーズにどんなことを感じたでしょうか?
老後の不安を強く感じたという方もいるかもしれません。
しかし、実は人生100年は甘い想定だとしたらどうでしょう。
―実際には、150年や200年の人生が待っているとしたら?
本記事では、その理由について解説するとともに、投資家としてこの長い人生の時間をどう捉え、対応していけばよいのか、お話ししたいと思います。
2. 止まらない余命の伸長
世界的に着実に伸びる余命
人生の長さを測る際に、広く使われているのが「平均余命」です。
実際の世界と日本の数字をWHOのデータから見てみましょう。
1960年から直近まで頭打ちすることなく伸びていることが分かると思います。
次に、同じデータから実際の伸び率がどのくらいなのか見てみましょう。
上記のグラフは、5年間の平均成長率を計算したものですが、世界的に直近20年は0.4%前後の伸びを安定的に続けています。
そして、超長寿国の日本でさえ、年間0.2%前後を維持することができているのです。
「平均余命」の数字の内側
そして、先程の「平均余命」ですが、数字の定義に注意する必要があります。
平均余命の年数は、英語の”Life Expectancy”という表現通り、
「生まれてすぐの0才児が何年生きることが予想されるか」
という数字です。
そして、当然ながら、人間の死亡率が最も高い乳幼児期に短い人生を終える子どもの数字も含まれています。
つまり、幼少期を生き延びた方の平均余命はこのデータよりも長いということになります。
この記事を読んでいる方は、幼少期を越えた方ばかりだと思いますので、医療の進歩などの他の条件がなかったとしても、平均的には83.9歳を超えて生きる可能性が高いと考えたほうが正しい見方です。
多くの方は、平均的には83.9歳が来た時に自分が亡くなるものと思いますが、それは大きな誤解なのです。
再生医療の格段の進歩
さらに、今後大きく余命を伸ばすと考えられるのが、(再生)医療/サイボーグ技術の進歩です。
ヒトは、病気にならない場合も、老化によって生命維持機能を失うと死んでしまいます。
が、使い物にならなくなった器官を培養した臓器、あるいは、ナノマシンやメカでいくらでも代替できてしまったらどうなるでしょうか?
そこには、事故や急病が無い限り、150年や200年、あるいは、もっと長い期間、ヒトが死なない世界が待っています。
これは、多くのバイオ企業が莫大な投資をして取り組んでいるテーマです。
もはや、絵に描いたSFの世界ではなく、本当に実現してしまう世界なのです。
3. 余命が伸びるのは危機なのか?
伸びる「健康余命」
多くのメディアでは、余命が伸びることで、老後の生活や家計に対する不安を取り上げているものが多いように思います。
実際のところ、この不安感は持つべきものなのでしょうか?
先程と同じくWHOから、「健康余命」のデータを見てみましょう。
平均余命と同じく、健康に生きられる余命も順調に伸びていることが分かると思います。
これは、社会の仕組みはさておき、もし働きたいと望むならば肉体的には長く働けることを意味しています。
また、仕事やビジネスだけでなく、趣味やレジャーも長く楽しめるのは当然ですね。
いままでの高齢者のイメージから、老いて何もできなくなった後の人生だけが何十年も伸びるような想像をしてしまうのは間違いなのです。
伸びる「投資可能期間」
そして、この健康余命の伸びは、投資家にとって何を意味するでしょうか。
多くの人に共通する投資の1つのテーマは、
「仕事やビジネスをやめた後の人生(老後)に備えること」
だと思います。
健康余命が伸びることで、フィジカルに働けなくなるまでの準備期間はどんどん伸びています。
そして、この準備期間は、すなわち、老後に備える「投資可能期間」です。
投資可能期間が伸びることは、下記の投資の成果に大きなプラスになります。
「投資の成果=投資元本×リターン×投資期間」
それは、単に投資期間が伸びるだけでなく、複利の効果でリターンも劇的に大きくすることができるからです。
(参考記事:)
というわけで、投資で正しく備えている方にとっては、健康余命が伸びることは経済的にネガティブでもなんでもないのです。
4. まとめ
ここまで、投資で正しい準備をしておけば、人生100年、あるいは、200年でも経済的には特に問題が無いことをお話ししてきました。
また、経済面以外でも、長くなった人生のルールはまったく変わらないことも改めて理解しておくべきかと思います。
何故なら、人生が50年だろうが、100年だろうが、200年だろうが、より良い人生の瞬間を積み重ねるべきということに何も変わりは無いからです。
もし、この人生の長さに参ってしまう人がいるとしたら、他人や社会に生かされる人生を送る人、つまり、誰かに人生の時間の使い方を決めてほしい人だけです。
むしろ、余命が長くなることは、人生の意味をみながまともに自分で考え始める良い機会になるかもしれませんね。
というわけで、みなさんが投資で豊かな人生を送るための参考になればとても嬉しく思います。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。