1. はじめに
いろいろな場面で「外貨建MMF」「外貨預金」という単語を耳にするけど、違いがよくわからない、私はどう使ったら良いのか…
という疑問をお持ちの方に、それぞれの仕組みと違い、さらに、個人がどのように活用すればよいのかについて、本記事ではくわしくお話していきます。
2. 外貨建MMF・外貨預金の仕組み
2-1.外貨建MMFは【マネーマーケットで運用される投資信託】
”MMF”とは、そもそも”Money Market Fund”(=マネーマーケットファンド)の略です。
ファンドとは、お金の集まりを意味する言葉ですが、日本語では、端的に「投資信託」ということになります。
「マネーマーケット」というと、少し難しそうに聞こえますが、
短期的な資金ニーズに合わせて、プロが資金を貸してあげたり、借りたりできる場所のことを差しています。
(プロか素人かという点は違いますが、本質は、友だち同士で、必要な人に、必要なタイミングで資金を融通し合っているようなものです。)
そのような短期の資金の融通から生まれる利ざやや利息をを得るために運用するのが”MMF”と呼ばれる投資信託ということになります。
そして、そのMMFの中でも日本円建てではなく、米ドルやユーロなどの外貨で運用されるものが『外貨建MMF』と呼ばれます。
2-2.外貨預金は【日本円建て以外の預金】
一方、外貨預金はどうでしょうか?
こちらは端的に、米ドルや英ポンドなどの外貨で預けた銀行預金、ということになります。
特に運用はされていない「銀行預金」ですので、あなたの得るリターンはその利息のみ、ということになります。
また、当然、持つ通貨の種類や取引銀行によって、大きく利息が変動します。
なお、預金を国内の金融機関に持つか、海外に持つかは関係ない点に注意しましょう。
(海外金融機関に、日本円で預金を持てば、外貨預金にはなりません。)
3. 外貨建MMF・外貨預金の投資商品としての違い
3-1. リターン
外貨建MMFの場合は、年数%未満の運用リターンを出すことができるのが通常です。
通常は、運用によって元本が増える「キャピタル・ゲイン」となることがほとんどです。
一方、外貨預金は、金融機関が提供する利息がリターンとなります。
直近、日本ではほとんど利息がつかず、高い定期預金でもゼロコンマ数%の前半が関の山ですが、
海外の金融機関の利息では、年間5%を超えるような水準で利息がつくものもあります。
(注:いずれも上記のリターンには、後ほどお話する為替による影響を含んでいませんので、その点に注意してください)
3-2. 為替変動リスク
外貨建MMF・外貨預金、ともに、上記のリターンはすべて為替変動による影響を受ける点に注意が必要です。
あなたが、投資の元本とリターンを国内で日本円として使おうと考えている場合には、
仮に表面上のリターンが出ていても、実質的なリターンが減ってしまう可能性があります。
「4. 外貨建MMF・外貨預金のおすすめ活用方法」でもお話しますが、運用や金利のリターンが多少高くても、
為替の変動がそれを超えてマイナスになれば、意味がなくなってしまいますので、注意が必要です。
(注:投資した後に米ドルなどの外貨建てでそのまま使う場合は、為替変動の影響はありません)
3-3. 元本保証
外貨建MMFには、原則的にあなたが投資した元本を保証する仕組みはありません。
ただし、通常短期間のプロ同士の資金の融通から利ざやを出しますので、株式などの金融商品と比べるとかなりリスクを抑えて運用されています。
一方、外貨預金には、金融機関による元本保証があります。
また、国によっては一定の条件で、金融機関破綻時も元本を保証してくれる制度があります。
なお、国や保険の仕組みによる、預金保険も100%機能するとは限りませんので、気をつけましょう。
(ちなみに、日本国内の外貨預金は預金保険制度の対象外ですので、注意が必要です。)
3-4. 手数料
外貨建MMFは、投資信託の一種ですので、原則的には購入や運用、売却に手数料がかかります。
しかし、証券会社によっては、ほぼゼロに近い手数料設定にしていることがほとんどです。
流動性の高い運用方法ですので、手数料をあまり取らなくても成立させることができます。
一方、外貨預金では、為替手数料(両替の手数料)に最も注意する必要があります。
例えば、国内の大手銀行では、日本円から米ドルへの両替で約1円、米ドルから日本円への両替で約1円の手数料(スプレッド)が抜かれます。
そうすると、往復の両替だけでざっくり2%くらい損する計算になります。
そして、国内の金融機関から海外の金融機関に送金する場合には、毎回5千円から1万円くらいの手数料が別途かかりますので、海外送金の場合は注意が必要です。
さらに、海外口座では、一定以上の残高を維持していないと、口座管理費用が定期的に控除されてしまう場合があるので、事前に金融機関ごとのルールを確認しておきましょう。
3-5. インフレーション耐性
最後に、インフレーション(物価上昇)への耐性、という観点で考えてみたいと思います。
インフレーションとは、モノやサービスの値段が上がることで、日本円や米ドルなどの通貨の価値が実質的に下がってしまうことを意味します。
例えば、100円で買えたパンが、インフレで200円になれば、日本円の価値が実質的に50%になったということになります。
(同じ金額で買えるモノやサービスが、半分になってしまいます。)
このインフレーション(物価上昇)に耐えられるか、という点では、外貨建MMF・外貨預金、ともにまったく防御することができません。
物価が上がれば上がっただけ、あなたの外貨建MMF・外貨預金の実質的な価値は確実に下がります。
そのため、インフレから資産を守りたいという観点では、外貨建MMF・外貨預金はまったく向いていないということになります。
なお、インフレそのものやインフレから資産を守る方法を詳しく知りたい、という方は、ぜひ下記の記事も参考にされてください。
(参考記事)
【保存版:投資とは?】意味も知らずに投資してるやつちょっと来い
4. 外貨建MMF・外貨預金のおすすめ活用方法
それでは、ここまでの説明を踏まえて、外貨建MMF・外貨預金のおすすめの活用方法をご紹介したいと思います。
いずれも、為替変動のリスク、インフレーション(物価上昇)には対応できず、中長期の「守り・増やす」運用には適していませんので、原則ほかの使い方をする必要があります。
4-1.外貨建MMFには【余剰の運用資金】を回す
まず、外貨建MMFについては、【余剰の運用資金】を回すという活用方法をおすすめしています。
具体的には、国内・海外問わず、個別株式や投資信託への投資で活用している証券会社の口座で、
余った外貨資金を外貨建MMFに回しておきます。
こうすることで、次の有力銘柄が見つかるまで、一定の運用をしながら資金を有効活用することができます。
また、両替をすることによる手数料負担も避けることができます。
なお、預金にしておくよりリターンが高い、という理由で多額の現金を外貨建MMFにしてしまう方もまれにいるようですが、
よりインフレからの保全が効き、中長期のリターンが出る商品を活用した方が望ましいでしょう。
4-2.外貨預金は【現預金の価値保全】に使う
次に、外貨預金については【現預金の価値保全】に使うことをおすすめしています。
例えば、投資できずに余っている現預金が仮に1000万円あった場合に、
日本円300万円、米ドル300万円、スイスフラン200万円、スウェーデンクローネ200万円のように、分散しておくという方法です。
こうすることで、特定通貨の価値が下がることで、現預金全体の価値が下がってしまうリスクを減らすことができます。
なお、先程もお話しした通り、外貨預金はインフレに対して丸裸の状態ですので、
上記はあくまでインフレに対処できる優良な投資先がない場合のオプションと考えておきましょう。
(参考記事)
さらに、高金利で利益を獲得することを目的に、オーストラリアドルやトルコリラなどで預金したいと考える方もいるようですが、
どんなに高い金利でも、為替の変動であっという間に、預金本体の価値が大きく下がってしまうことも多いので全くおすすめしていません。
5. まとめ
・「外貨建MMF」とは、プロ同士が短期の資金を融通する一種の投資信託。一方、「外貨預金」は日本円以外の外貨で銀行に預けられた預金のこと。
・いずれも、為替変動のリスク、インフレーション(物価上昇)のリスクには対応できず、中長期の「守り・増やす」運用には適していない
・外貨建MMFについては、【余剰の運用資金】を回す活用をすべき。証券口座などで外貨の両替コストを避けて、一定の運用に回すことができる
・外貨預金については【現預金の価値保全】に使うのが良い。どうしても預金を一定額以上持っておかなくてはならない場合などに、複数通貨に分散しておくことで、特定通貨の価値が下がる影響を最小限に抑えることができる
いかがでしょうか?みなさんのお役に立てば、幸いです。
なお、「外貨建MMF」「外貨預金」以外の投資商品や投資方法について、詳しく全体的に学びたい、
という方は、ページ下段から無料のセミナー動画とPDFをお配りしていますので、活用してみてください。
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