0. はじめに
「この商品が大人気です!」
「人気なので、残りの投資枠がすぐになくなってしまいますよ!」
「日本ではありえない高利回りで大変人気です!」
などと、投資商品の勧誘を受けたことがある方も多いのではないでしょうか?
また、対面だけでなく、オンラインで同様の勧誘を行っているとサイトも多くあります。
このように、人気がすごいことをウリにしている投資商品はごまんとあります。
が、残念ながらこういった紹介をされている投資商品は適切な収益を上げられることはとても少ない(!)です。
私の投資家としての経験則もありますが、収益を上げにくい客観的な理由がいくつもあるのです。
本記事では、その理由を正しく理解して、本当に良い投資商品選びができるようになっていただければと思います。
1. 大前提:奇跡の運用方法は無いと知っておこう
大前提として、金融市場の平均の利回りを大きく超える運用方法があるか、ということについてお話しておきたいと思います。
まずは、実際に存在するかどうかということですが、それは…もしかしたら、あるのかもしれません。
しかし、世界中を探しても、運用先として活用できるアセットは限られていますので、そうそう簡単に平均的な利回りを超える事はできません。
また、リターン(=利回り)の高さは、通常リスク(リターンのばらつき)の高さを表していますので、本当に想定リターンが出るのかどうかはよくよく考えておきましょう。
(参考記事:【保存版】この記事だけで身につく、投資の「利回り」のキホン)
次に、仮に市場平均を超える素晴らしい商品が存在したとしたら、一般の投資家にどのくらい情報が回ってくるでしょうか?
もしそんなすごい商品があれば、またたく間に少数の富裕層で投資枠が埋まってしまうでしょう。
そして、そのような商品をわざわざ手間とコストをかけて、数多の一般投資家に紹介する必要があるでしょうか?
―残念ながら全くその必要はありません!
あなたが投資界のドン(?)でも無い限り、基本的に情報が回ってくるはずがないと肝に命じておきましょう。
2. 儲からない投資商品ほど人気に見える理由
運用リターンが大きすぎる
日本のような低金利の国では、運用リターンが大きい商品にみな飛びついてしまいがちであるため、一見すると人気に見えます。
しかし、前のセクションでもお話した通り、金融市場の平均を実際に大きく上回る投資商品は極めて希ですし、ましてや、一般の投資家に紹介されることは通常ありません。
そのため、そもそも想定リターンの計算方法が販売者有利に歪んでいたり、実際に蓋を開けてみると、事前の想定リターンから大きく下回ったりします。
また、リターンの数字が大きいほど、以下の参考記事でお話しているような「詐欺的な商品」に該当してしまう可能性も高まります。
(参考記事:投資詐欺に遭う確率を90%以上下げる10のポイント)
一つの目安ですが、年利で15%を超えるような商品は、相当の注意が必要です。
販売者の利益が大きい
投資商品の販売者が強くあなたに商品を勧めたい理由にはどのようなものがあるでしょうか?
その大きな理由の一つは、「販売による手数料が高い」ということです。
それでは、その手数料はどこから捻出されているでしょうか?
商品の形態によりますが、どの商品も実質的に商品のリターンの一部から支払われていると考えたほうが良いです。
誰(投資するあなたor運用者)からどんな名目(投資額の一定割合や手数料その他)で徴収していても、金融商品の運用ビジネスは
「あなたの預けたお金(元本)」と「運用益」
の2つしか手数料を支払うための元手が無いからです。
また、販売手数料という名目ではなく、旅行やパーティなどの形で販売者に還元している投資商品についても、元本と運用益を食いつぶしている可能性があるので注意が必要です。
「販売者が売りたい商品と投資家が買いたい商品は逆」
と覚えておきましょう。
加えて、販売者の利益が多い商品は、当然ながら誰もが販売したいということになります。
そうすると、自然にオンライン・オフライン含めて、販売したい人からの商品情報が一般に多く出回るようになります。
先程もお話したように、本当に投資家にとってパフォーマンスが最高の商品であれば、一般に広く募集しなくても募集枠を埋めることができます。
情報が広く出回るのは、買い手(投資家)ではなく、売り手が儲かるからと考えたほうが良いです。
配当等で運用益を払い出している
私も皆さんも含めて、残念ながら、ヒトは本当に堪え性の無い生き物(笑)です。
そのため、短期間で手に入る利益というのはとても喜ばれやすいものです。
結果、定期的な配当などの形で定期的な分配を行う商品は、人気が出やすくなります。
しかし、配当の原資も販売手数料と同様、
「あなたの預けたお金(元本)」と「運用益」
の2つしか支払う元手がありませんので、運用状況によっては、元本まで切り崩すことになります。
加えて、本当の意味で資産形成に適する商品は運用益を再投資して、複利で運用する商品です。
以下の参考記事でもお話している通り、複利の効果は爆発的であることに加え、配当を途中で受け取ってしまうとその度に課税されて資産が目減りすることになります。
(参考記事:複利:世界の8つ目の不思議)
3. まとめ
・大前提として、金融市場の平均を超えるリターンを出すことは簡単ではない
・市場平均を超える素晴らしい商品がもしあれば、通常、少数の富裕層で投資枠がいっぱいになると考えるべき
・儲からない投資商品ほど人気に見えてしまう理由は以下の3つ
1.運用リターンが大きすぎる:高いリターンが注目を集めるが、実際に想定リターンを出せる商品は少ない
2.販売者の利益が大きい:販売者の利益の分だけ、投資家の元本やリターンを切り崩しているので、想定リターンを出すことが難しくなる
3.配当等で運用益を払い出している:短期で受け取れる配当が人気を得やすいが、投資家の元本やリターンを切り崩す可能性が高いことに加え、複利効果が得られないため、資産形成が進まないことになりやすい
以上です。
いかがだったでしょうか?
みなさんの着実な資産形成の参考になればとてもうれしく思います。
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