1. はじめに
自分の大切な子どもや孫のために、自分の資産や蓄えを遺したい、、、
そう考える方は、世代や境遇を問わず、多くいらっしゃるかと思います。
しかし、実際には、
お金や資産を遺せば遺すほど、あなたの子どもや孫がかえって貧乏になる(!)
としたらどうでしょう。
アメリカの実際の調査結果を交えながら、あなたのお金や資産が子どもを貧しくするメカニズム、
そして、本当にあなたの子どもや孫のためになる、資産の活用方法を考えてみたいと思います。
2. 衝撃的なアメリカの調査結果
まずは、アメリカの非常に有名な富裕層調査の結果をかいつまんでお話したいと思います。
あなたが遺すお金や資産は、あなたのお子さんにどのような影響を与えるのでしょうか?
お金や資産をあげるほど、将来のための投資をしない
お金や資産をたくさん受け取ったあなたの子どもは、将来のために投資をする割合が低くなります。
また、もし多少投資に取り組んだとしても、なにか事前に目標や計画をつくって戦略的に投資する確率は格段に下がります。
お金や資産をあげるほど、浪費と借金をする
あなたのお金や資産を受け取ったお子さんには、ぜひなにか将来のために役に立つよう使ってほしい
と思うのが、親心だと思います。
しかしながら、お金や資産を多く受け継ぐほど、まったく別の結果が待っています。
ーそれは、『浪費』と浪費を維持するための『借金』です…
お金や資産を受け継ぐほど、「浪費」と「借金」に対する精神的なハードルが低くなってしまうのです。
結果として、お金や資産をあげるほど、あげない場合よりも貧乏になる
浪費と借金を繰り返し、将来のための投資をまったくしない、、、
この先に待っているあなたのお子さんの将来はどのようなものでしょうか。
ーそう、お金や資産をあげた場合よりも、あなたのお子さんはかえって貧乏になってしまう(!)
のです。
お子さんに豊かになってほしい、あなたの想いで受け継がれたお金や資産は、まったく逆の結果を生んでしまうのです。
(出典)となりの億万長者 トマス・J・スタンリー (著), ウィリアム・D・ダンコ (著)
3. あなたの相続財産が子どもを貧乏にするメカニズム
それでは、なぜあなたのあげたお金や資産が子どもを貧しくしてしまうのか、
その仕組みについて、多くの方の資産状況を拝見してきた私なりの解釈をしてみたいと思います。
いつでも、いくらでもお金はあるものと錯覚する
子どもが成熟するまでに、あなたがお金や資産を与えすぎてしまうと、
子どもは「お金はいつ何時でも・いくらでもあるもの」と思うようになります。
もしあなたがお金を増やし・保つためにかげながら努力していても、そのことが理解される可能性は低いです。
結果として、子どもが大人になり、自分で生活を維持するようになっても、
「お金はいつ何時でも・いくらでもあるもの」といつまでも思い続け、
その前提でつねに考え、行動するようになるのです。
金融リテラシーを身につける機会がなくなる
いくらでもお金がある状態になると、お金や資産そのもの、あるいは、維持して増やすための投資などの方法について
学ぶ機会が失われてしまいます。
例えば、どの生き物もいつも食べ物が簡単に手に入る環境にいれば、
食べ物を手に入れる能力が育つことは絶対にありません。
そのような努力や労力は、生きるためにはただの『ムダ』でしか無いからです。
また、金融リテラシーが指すものは、例えば、投資を計画的に・着実に行うような、
比較的高度な話だけではありません。
収入と支出を管理するような、最低限の家計管理すらもできなくなってしまいます。
4. あなたが選ぶべき3つの正しい相続方法
それでは、あなたのお金や資産が子どもを貧乏にするとしたら、
あなたはどのような形で、お金や資産を子どもに受け継ぐことを考えたら良いのでしょうか。
お金や資産はそもそも相続させない
1つ目の方法は、そもそもお金や資産は相続させない、ことです。
お金や資産が返って子どもを貧乏にしてしまうなら、残さないことは当然の合理的な判断になります。
事前に、「お金や資産は相続させない」と子どもに何度も伝えておくのが良いでしょう。
いい意味で危機感を持って、さまざまな勉強をしてくれるでしょう。
ちなみに、私自身も、まだ子どもは3歳で小さいので、意味はわからないのですが、
遺産は1円も残さずに、慈善団体に寄付しきってしまう!
と宣言しています。
また、私の周りのビリオネアも子どもにはほとんど残さない、
と言っている方が結構多くいます。
信託や後見人の仕組みを活用する
どうしても何か子どもに資産を遺したい、という方もいると思います。
そのような方には、2つ目の方法、信託や後見人の活用を考えましょう。
これらの仕組みを活用することで、子どもが大人としてお金の大切さや扱う最低限の能力を身につけてから
(例えば30歳以降など)、あるいは、その他の自分の指定した条件を満たしてから、使えるようにすることができます。
逆に、その条件を満たすまで、資格を得るまでは、お子さんたちはあなたの財産を使うことはできません。
また、この場合も、あまり多額に遺しすぎない方が、きっと長い目で見てお子さんの繁栄につながるでしょう。
「金融教育」という最大の資産を遺す
3つ目の選択肢は、「金融教育」という資産を遺す、ことです。
「魚を与えるより、魚の釣り方を授けよ」
という言葉もありますが、やはりこの方法が一番お子さんの繁栄に繋がる方法と言えるかもしれません。
どんなに大きなお金や資産も長い目で見ると、様々な経済変化で簡単に価値がなくなってしまうことはあるものです。
それであれば、むしろ自分でどんな経済変化があっても再起できる力を持ってもらうのがもっとも確実な方法と言えるでしょう。
私自身も、お金や資産を子どもに1円も残さないのが目標、とお話しましたが、
それに加えて、正しい金融や投資の教育を施すのが私の一番の努めだと思っています。
5. まとめ
・アメリカの調査によると、子どもにお金や資産を遺すことは、
①子どもの投資に対する意欲や能力を下げ、資産形成できなくしてしまう
②いくらでもお金があると錯覚させ、浪費や浪費のための借金を増やしてしまう
③結果として、親が子どもにお金や資産をあげなかった場合よりも貧乏にしてしまう
・不本意な結果を避けるために、親ができる方法は3つ
①そもそも害になる可能性のある、お金や資産は相続させない
②仮に相続させる場合も、信託や後見人の制度を活用し、子どもが金融リテラシーを身に着けてから受け継がせる
③お金や資産そのものではなく、お金を増やし・守るための金融教育を受けさせる
いかがでしょうか。
お子さんのいらっしゃる方の正しい選択の助けになれば幸いです。
なお、今の資産状況を把握するためのシートを下記で配布していますので、
これまで相続資産を整理したことがなかった、という方は是非活用してみてください。
(参考記事)【保存版】投資をはじめる前に現在地を知ろう
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